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◆政府および外交団との関係

 

1. 緊急事態でUNHCRが新たなプレゼンス(事務所や職員の駐在)を確立する場合の外交手続きは、他の国連機関の場合と同様、すべて当事国の外務省が行なう可能性が高い。しかし難民にかかわる実質的な事柄は、大統領府や首相官邸、内務省など他の当局が担当する場合もある。政府との書面通信の書式については、後で手引きを示す。

 

2. 当事国に駐在する外交団(各国大使館など)に対しては、緊急事態の初めからUNHCRの活動情報を継続的に伝えることが重要だ。情報を手に入れ、関心を深めた外交団の存在は、緊急事態事業に対する当事国の機関からの援助と、拠出国政府から資金を得る際の助けとなる。

 

状況説明会

3. 状況説明会(ブリーフィング)は緊急事態の初期に開始し、定期的に続ける。緊急事態の初期に、すでに難民問題に強い関心をもち、状況説明に耳を傾ける大使らのグループがあるかもしれない。こうしたグループが存在しなかったり、より正式な会合を開催したい場合は、UNHCR執行委員会(EXCOM)のメンバー国の大使を状況説明に招くのがよい(EXCOMのメンバー国一覧は、この章の付表1を参照)。

EXCOM、および重大な関心を持つ他の各国政府に対し十分な情報を伝える一方で、貴重な時間を外交儀礼などに費やすべきではない。

 

4. 状況説明の準備や参加者については、以下の人々が助言者として役立つかもしれない――EXCOMの現議長国の大使、外交団長、主な拠出機関である欧州連合(EU)やアフリカ統一機構(OAU)、その他の地域連合の現議長国からの大使。

 

5. 当事国政府の代表はこうした状況説明会に出席するのが通例である。国連機関や緊急事態事業に直接関与しているNGOも招待する。

 

6. 当事国政府の代表が議長にならない場合は、通常UNHCRが会合の議長を務め、他の機関に活動の説明を求める。初期段階では、隔週あるいは毎週こうしたミーティング(meetings)を開く必要があるかもしれないが、状況が落ち着いてきたら月1回が妥当だろう。

 

7. 難民の数など特定の項目や課題について合意があるよう、事前に参加機関と協議して、状況説明会に備えておくと良い。

 

8. 質問に即答できない場合は、後で質問者に個別に対応する。

 

9. こうした状況説明会は、資金調達においても重要となる。拠出国政府の代表が外交団に加わり、会合に参加すると考えられるからだ。拠出国の特別な懸念に対応するために、あるいは拠出国の派遣団が到着した時は、小規模な状況説明会を開くとよいだろう。重大な保護問題に関して、小規模で目立たない説明会が必要になる場合もある。

 

10. UNHCRの週間報告書や月次報告書は有用な補足資料となり、事態発生から時間の経過と共に、外交団向け会合などの状況説明会の代わりにもなりうる。書式は内部用の標準的な緊急事態状況報告書(SITREP)に倣えばよい(第8章の付表3を参照)。このように、SITREPを説明の目的で使用する時は、一般に公表すべきでない部分にはっきり印をつける。直接関与している他の国連機関も、活動の説明を提出する。こうした状況報告書は事業地域で広く配布すると同時に、本部の担当者にも送る。

 

 

 

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