日本財団 図書館


38. 緊急事態状況報告書の標準書式については、付表3を参照のこと。

状況報告書の提出は日常活動の一部となるべきである。

保護、保健、コミュニティ・サービスなど分野別の報告が必要となる場合もある。

 

39. 実施協力機関は、現場のUNHCRに報告書を定期的に提出する。その報告義務は、実施合意書に定めなくてはならない。UNHCRの現地事務所も本部に定期報告書を提出しなければならない。現地事務所を通して本部に送られる実施協力機関の報告書には、必ずUNHCR代表の分析とコメントを添える。

 

◆特別な考慮事項

 

40. 難民緊急事態において、職員は多くの問題に直面しうるが、以下の手引きが役に立つだろう。

 

難民が住む土地の購入または賃借に対する支払い

41. UNHCRは、基本的な方針として土地の購入や賃借をしない。土地は、庇護国政府が提供するものと考えるからである。この方針に対する例外措置には、本部の承認が必要となる。ただし、土地上の建築物に対しては、UNHCRが出資することもある。

 

難民に対する支払い

42. 特定の援助活動(一部のコミュニティ・サービス、基本的なインフラや避難所の建設など)では、難民への現金または現物による支払いが生じることは避けられない。この問題をいかに解決するかが、居住地の性格に重大な影響を与える。

支払いを受け取ることにより、難民が自分たちの生活に対する自らの責任感を失なってしまう可能性がある。

しかし支払いをしなければ、居住地の生活に不可欠の作業ができなかったり、外部の賃金労働者を使わなければならなくなる。

 

43. 居住地が作られたばかりの初期段階では、通常、難民に支払いをするのは適切でないだろう。難民は仲間とともに居住地の確立に参加する責任を担うべきである。この段階は、現物支給さえ不適切だろう。居住地の確立に対し賃金支払いや現物支給を受ける権利がある、という不適切な印象を難民に与えるほか、もともと不可能な継続的な支払い・支給の責任や、居住地全体の配分を犠牲にしなければ対応ができないような支給義務も生じうる。初期の居住地では、供給体制に必ずといってよいほど問題が生じる。こうした状況下では、一部の者が他者の不利益によって余分な物資を得るべきではない。

 

44. 長期的には、何らかの支払いをしなければ作業水準が低下する作業が出てくる。これは特に、その重要性が必ずしも難民に正しく理解されない公衆衛生業務にあてはまる。どんな支払い計画も、開始前に予想費用総額を計算し、必要な特別資金や食糧が入手できるか確認すること。大規模な難民集団に対する継続的な資金関係は莫大になりうる。

ある仕事または作業グループに対する支払いが始まると、他の者はこれを前例と考えてしまう点に留意する。

共同体(コミュニティ)における有給の作業については、明確かつ限定的な基準を設ける必要がある。導入する賃金制度は、自立的な居住地に向けた進展を阻むものであってはならない。分野別の業務担当機関は、当該分野で作業する難民の賃金を負担すべきである。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION