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14. 実施の権限は、まずUNHCRの内部で委譲される。通常は、プロジェクト(水、衛生など個々の計画)の直接実施を認める業務命令書(LOI=Letter of Instruction)、または実施協力機関との実施合意締結を認めるLOIにより、UNHCR代表に権限が委譲される。この内部的な権限委譲に基づき、UNHCR実施協力機関との実施合意書の署名が可能となる。

UNHCR資金を支出する当事者は、UNHCRと正式な合意書に署名している必要がある。

 

緊急事態業務命令書(ELOI)

15. 緊急事態業務命令書(ELOI=Emergency Letter of Instruction)は、通常の業務命令書(LOI)より書式や手続きを簡略化したもので、実施権限を迅速に現地に委譲するために利用される。通常は電子メール、ファックス、またはテレックスで送られる。ELOIは緊急事態が急展開している国のUNHCR代表に支出を認め、実施協力機関とプロジェクト実施合意を結ぶ緊急権限を与える。ELOIは、ニーズと資源の詳細な評価に基づく援助計画が策定されるまでの間、至急のニーズにすぐ対応するためにあり、緊急事態の事業全般をカバーするものではない。したがって資金が枯渇したり、ELOIプロジェクトの終了後も援助を継続するためには、事業の管理者はUNHCRマニュアル第4章の手続きに従い、できるだけ早くLOI発行のための詳細なプロジェクト案を本部に送る必要がある。

 

16. ELOIを作成してもらうために、現地事務所は分野レベルの予算案(米ドル換算)を本部に送る。プロジェクト記述書や作業計画は必要としない。

 

17. 16を受け、本部は以下の基本情報を含むELOIを発行できる。

i. 必要総額

ii. 初期支払い限度額

iii. 支出の目的(分野レベル)

iv. 支出に適用される期限

v. プロジェクト記号

vi. 分野レベルの予算概要

 

18. ELOIに基づく実際の支出は、さらに細かなレベル(分野別活動、できればさらに細かく)まで記録し、実施中の適合するプロジェクトに対して請求されなければならない。あらゆる支出を記録するために、支払い先、金額、プロジェクト記号、支払い目的、支払い日を示す支払い伝票を作成する必要がある。この伝票は、受け取り人が署名するか、領収書を添付して月次会計とともに本部に送付する。

 

19. 特別な状況では既存のLOIに基づく資金の再割り当てが可能で、ELOIが必要ない場合もある。

 

実施合意

20. プロジェクト全部または一部の実施は、実施協力機関に委託できる。UNHCRが資金を支出する当事者はUNHCRとの正式合意に署名している必要がある。この合意は、内部的な権限委譲に基づき、さらに権限の条件(LOI、ELOIなど)と財務規則に合致している必要がある。すべての実施合意が含むべき基本条項は、UNHCRマニュアル第4章に記載されている。

 

21. 政府または国際機関が、自らの資源を使い救援物資を調達する場合、UNHCRは、現金または現物による払い戻しを書面で合意する場合がある。ただしその金額は、米ドルで限度額を明記し、ELOIその他の既存の権限に基づく支払い限度額を超えてはならない。こうした支払い義務は、ただちに本部に報告すべきである。

 

 

 

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