他にも、給食計画、衛生(トイレの保守・掃除、排水溝、ゴミ処理、病菌を媒介する生物の駆除など)、建築(避難所と共同施設)、教育、追跡、一般事務といった業務がある。女性や若者は必要な技能があっても、申し出る自信や言語能力がないことが多い点に注意する。彼らを見つけるための方策が必要となる場合もある。
35. 同時に、建築や井戸堀りなど他の伝統的な技能も活用する。状況によって自立心をはぐくむ措置は異なるが、難民の外的援助依存を避けたり抑えることを常に目標とする。一般に、難民になじみのある方法や慣習に基づく措置のほうが、成功の度合いは高い。
36. 第3のレベルは、新たな環境での生活(これまでとは大きく異なる可能性がある)に関するコミュニティ全体の教育である。例えば、人口過密環境における衛生の重要性、母親と保育の問題、使い慣れないトイレの使用といった公衆衛生教育がある。見知らぬ食材や調理法を使わなければならない場合は、すぐに実用的な指導を行なうことが不可欠となる。この種の教育・指導は、外部の支援のもと、女性と若者を含む難民自身が行なうのが最もよい。
難民の代表
37. 難民居住地は、通常、従来の共同体生活を単純に再現したものではないから、大多数の難民は、一時的に、共同体の元来の指導体制とは異なる環境で暮らしている。しかしほとんどの緊急事態には、難民のリーダー、代弁者、または尊敬を集める長老がいる。緊急事態計画の立案と実施の過程で、指導者の選出方法を共同体と一緒に決め、公平な代表選びと適切な参加を確保する必要があるだろう。これは、従来の生活と難民居住地生活の差が大きいほど、緊急事態援助計画を成功させるうえで重要になる。
ただし、新たな権力構造が力にものをいわせて出現し、難民を事実上支配していても、難民全体を代表しない場合があるので注意が必要である。
38. 難民の代表制度には以下が必要とされる。
i. 共同体の様々な利害と分野、および男女の双方が真に代表されるようにする。
ii. 様々な社会階層の代表者やリーダーを参加させ、難民一人ひとりが適切に代表され意思が伝達できるようにする。
iii. 言語能力などによる先入観を避ける。外部の援助提供者と共通の言語を操れるというだけで、ある難民を難民共同体の代表にする理由にはならないことに留意する。
iv. なるべく伝統的な指導体制に基づく。ただし、それが適切な代表をもたらすことが条件である(例えば、伝統的な指導体制が女性を排除する場合でも、女性の代表者を出すべきである)。
v. 現場の区画と一致させる。
主な参考文献
A Framework for People-Oriented Planning in Refugee Situations taking account of Women, Men and Children, UNHCR, Geneva, 1992.
Partnership: A Programme Management Handbook for UNHCR's Partners, UNHCR, Geneva, 1996.
UNHCR Handbook; People-Oriented Planning at Work: Using POP to Improve UNHCR Programming, UNHCR, Geneva, 1994.