関係者の定期的な会合は必要不可欠である。政府当局、UNHCRフィールド担当官、ないしは実施協力機関が議長を務める全体的な調整の仕組み(メカニズム)が作られるべきであり、このメカニズムは分野別委員会によって補われる。
28. いくつかの活動は相互依存関係にあったり共通点を持ち、現場レベルでの特に細かい調整を必要とする。例えば、環境衛生に関する措置は保健サービスと、保健活動の一環としての家庭訪問は、給食計画やコミュニティ・サービスとのきめの細かい調整が必要だ。
29. 援助職員が頻繁に交代すると、現場レベルの調整に大きな問題が生じかねない。もっとも、明らかに短期間だけ必要な専門家もいる。難民との関係が緊密になるほど継続性は重要になる。現場の事業協力機関は、人員が交代しても活動と方針の継続性を確保するためオリエンテーションやブリーフィングの標準的な手続きを用意しておくべきである。
難民コミュニティの組織化
30. コミュニティ(共同体)の意識を維持・促進する重要性は、第10章と第12章で強調されている。現場と難民によるコミュニティの組織化について考え、これを理解するには、最小単位――家族――から始める。大きな単位から考えると、自然または現在の共同体の構造とその関心事を反映しない場合が多い。
31. したがって、現場の組織化と管理・運営の基本的な立案単位は家族であり、これに伝統的な社会様式、難民人口の顕著な特徴(保護者のいない未成年者や、青少年や女性が家長を務める世帯など)を考慮する。組織作りや代表制度という目的で大きな単位を考える際も、共同体の仕組みに従う。例えば、家族の次に大きな単位は生活条件に沿った約80〜100人から成る共同体となり、その次は約1000人の共同体となる。居住地における様々なサービスは、こうした単位に沿って提供される。例えば、給水とトイレは世帯レベル、教育や保健施設は共同体またはそれ以上のレベルで提供される。また、現場(居住地)の配置・区画は社会組織に大きな影響を与える。
一般に、居住地は小さいほど良い。人口密度の高い、大規模なキャンプは極力避ける。
コミュニティの参加
32. 難民は、自らのニーズを満たす対策の立案と実施に参加しなければならない。難民コミュニティを組織化する方法いかんでは、難民自身の技能を生かし、難民の中から現場での業務・活動の従事者を出すこともできる。
33. 難民の参加には三つのレベルがある。第1のレベルは、全体的な計画立案と組織化への参加だ。例えば、制約された状況下で、最良で、かつ地域の文化に一番かなった解決策を決めなければならない場合がある。この場合、難民コミュニティの中に、難民を適切に代表する社会組織が必要となる。従来の社会構造が大きく破壊されている可能性があるため、そうした社会組織を作るには時間がかかるかもしれないが、緊急事態における事業の成功と難民の将来のためには重要となる。この間、もちろん明らかなニーズを満たす緊急措置も取り続けなければならない。
34. 第2の参加レベルは、事業の実施において、可能な場合は、常に難民の技能と資源を利用することである。難民コミュニティは、可能な限り難民自身が運営すべきである。看護婦、教師、伝統医療を施す人など、適当な資格と経験を持つ難民がいるなら、彼らを採用すること。こうした難民がいない場合は、外部からの援助により難民を訓練し、仕事を引き継げるようにする。