20. 複合的な緊急事態が起きると、個人または一機関が、現地で国連システムの対応を調整する責任者に任命される。この個人または機関は「人道調整官」と呼ばれる。
21. 人道調整官の任命権は、IASCにある。
22. 人道調整官に任命される機関は、緊急事態の性質と当該地域における相対的な対応力によって決まる。
23. 複合的な緊急事態における国連援助の調整は、通常以下の四つの方法による。
i. 常駐調整官
常駐調整官は、当事国における国連関係者のリーダーであり、通常は国連開発計画(UNDP)のその国における最高責任者である。複合的な緊急事態では、常駐調整官が人道調整官にも任命される場合がある。
ii. 主導機関
援助の大部分を行なう国連機関のひとつが調整役に選ばれる。
iii. 人道調整官
緊急事態の極めて大規模な場合、常駐調整官事務所や主導機関とは別に、人道調整官が任命される。通常、緊急事態が回復基調に乗ると人道調整官は活動を縮小し、残務があれば常駐調整官に戻す。
iv. 地域人道調整官
緊急事態が複数の国に影響を与える場合は地域担当の人道調整官が任命される。
複合的な緊急事態におけるUNHCRと他の国連機関の役割
24. 難民を伴う複合的な緊急事態では、UNHCRが難民の保護と援助活動を担当する。UNHCRが主導機関に任命される場合もあり、その場合は国連による対応策の調整も担当する。
25. UNHCRが主導機関であるか否かに関わらず、UNHCRの地域代表は、UNHCRの国別援助計画にかかわる全ての問題とUNHCRの任務にかかわる政策・問題について、国連難民高等弁務官に対する直接の責任を負う。
難民の保護は、常に、国連難民高等弁務官(UNHCR)のみが持つ権利でなければいけない。
◆現場における組織化
はじめに
26. 現場レベルでの組織と調整の体制は、中央レベルの体制を大まかに反映する場合が多い。だが根本的な違いがひとつある。現場では難民自身が主役を果たすべきである。
難民コミュニティ(共同体)の組織化は、難民自身の自給能力を支援・強化するものでなければならない。
27. 緊急事態事業の目的と目標を明確に理解し、適切に調整することは、中央レベルより現場レベルで一層重要となる。失敗や誤解が難民に直接影響を与えるのは、現場レベルだからである。
特に重要なのは、多くの機関が似たような援助を提供している場合、共通の基準を採用することである。