vii. 責任を割り当てる。
UNHCR内部において、そして事業の関係者の間で、責任の所在を明確に示す必要がある。
viii. 調整の仕組みを定める。
事業関係者間の調整の仕組み(メカニズム)を確立する。異なる地理的レベル(例えば、現地と首都あるいは地方都市)間の調整も確実にする必要がある。大規模な事業では、分野ごとに調整の仕組みを持つことも必要になろう。
ix. モニタリングの仕組みを定める。
難民緊急事態の管理には、当初から実施状況を示す指標の測定による継続的モニタリング、報告、評価を含める。これは、状況が変化しても適切な目標を維持し、目標達成ための活動を効果的に実施するためである。
x. 計画を記録・公開し、進捗状態をモニタリングして、是正措置を取り、計画を調整・改訂する。
UNHCRのEffective Planning Guidelines for UNHCR Teams (1999年1月改訂)は、立案過程を事業の全レベルにおいて、できる限り効果的かつ効率的に管理・運営する方法を、より詳細に述べている。このように立案過程が強調される背景には、立案過程が優れているほど、費用効率、早さの両面で優れた成果がもたらされるという考え方がある。
◆責任の割り当て
ギャップ確認表
10. ギャップ(不足、欠落)確認表(gap identification charts)は、単純だが極めて重要かつ有用な道具で、これにより責任を効果的に割り当て、難民事態の現場における未対応の重要ニーズを場所・分野ごとに明らかにすることができる。この表はある事業において、誰が何の責任を負うかを場所・分野別に示し、注意を要する事項を明らかにする。上の表のように、空欄は「ギャップ」、すなわち責任を負う者が誰もいない場所または分野があることを示す。従ってここに優先的に注意を向ける必要がある。付表2は未記入の確認表で、図1は記入例である。
役割と作業
11. 関係者全員の役割と作業は、明確に定めなくてはならない。責任分担の決定が遅れると、各当事者は勝手に目標を定め、各自の責任範囲を設定するようになる。その結果、たちまち混乱、不足、重複が生じうる。責任は、組織と個人の双方について各管理レベルで定めるべきである。個人への責任の割り当て方法については第20章で論じる。
12. 難民緊急事態下での責任は、おもに組織の任務に応じて、また国際合意や組織間で交わした既存の合意覚え書き(MOU)により各組織に割り当てられる。
13. 責任と役割は、難民状況の特別なニーズや現地の様々な当事者の対応能力に応じてさらに詳細に定められる。その内容は実施協力機関との実施合意書、他の国連機関とのMOUや書面のやり取り、政府との合意に規定される。正式合意が未完成で協力の根拠が合意書に基づいている場合、事業計画書に記載された責任の定義が一段と重要になる(合意書の書式については第8章の付表1を参照)。
14. 援助活動を行なっているがUNHCRの実施協力機関ではない組織の責任範囲も定めなくてはならない。これは、特に各NGOが特定分野の担当を希望する場合に問題となりうる。最終的な権限は政府にあり、UNHCR地域代表や事業管理者は当局と緊密に協議する。いかなる利害の対立も、可能な限り調整により解決すべきである。