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◆保護と物的援助

 

難民の所在地

23. これは難民の保護と援助の全分野にわたり大きな影響を及ぼす。難民たちがばらばらに住み着いている場合、特に切迫した理由がない限り、無理に集めて居住させるべきではない。ただし、居住に不適と判断される場所にいる場合は、移動させる。難民を不適切な場所から移動させるのは、時間の経過とともに著しく困難になる。既に居住してしまっている者を動かせない場合でも、新たに到着する難民は別の場所に移動させる(第12章を参照)。

 

現場における指揮

24. まず適正人口を定め、それに従い新しい用地(sites)を割り当てる。難民が到着したら、居住地を注意深く管理し、あらかじめ用意した区域から順次埋めていくようにする。

 

人数と登録

25. 人数を正確に見積もることは、保護と援助を有効に行なうための必須条件である。助けを必要とする人全員を効率的に援助するには、少なくとも家族登録が必要であり、その準備をできるだけ早く行なう。ただし初期段階は、完全な登録ではなく、推定された数に基づく援助もやむをえない(第11章第13章を参照)。

 

生命に関わる緊急ニーズ(urgent survival needs)

26. 最も緊急を要する死活問題、すなわち食糧、水、緊急避難所、保健衛生に公平な分配を確保しながら対処する。

i. 難民の参加。最初から難民を参加させ、自立を促す。さもないと、緊急事態援助の効果は著しく損なわれる。また、難民たちがつらい経験から早く立ち直るチャンスも失われてしまう可能性がある。

ii. 食糧。少なくとも最低限のカロリーを満たし、その後に本格的な配給に着手する。明らかに栄養不良の兆候がある場合は、特別給食プログラムを作る。備蓄設備を作る。

iii. 水。既存の水資源を汚染から守り、手に入る最も簡単な方法で最大限の貯水能力をはかる。他に方法がない場合は、現地に水を輸送する。

iv. 緊急避難所。屋根を作るための材料などの必要物資は、できれば現地調達する。必要なら外部からの供給(ビニールシートなど)を要請する。

v. 保健。当事国の保健当局と緊密に連絡を取りながら、必要な組織的援助、保健職員、基本的な医薬品や医療機器などを提供する。当初必要とされるのは、ケガや病気の治療となるだろうが、予防策、特に衛生環境対策も怠らないこと。

vi. 衛生。排泄物を水源や住居施設から遠ざける。

 

27. 社会的ニーズを満たす措置を取り、必要とあれば家族を再会させる。困っている人は表面化しない場合が多いので、調査で確認する必要もある。追跡調査も必要となろう。難民の集団が離ればなれにされている場合は一緒にしなければならない。保護者のいない子どもを世話する特別措置を優先する。

 

28. 以上のような優先措置を取った後に、より幅広い計画立案を開始する。

 

参考文献

Initial Assessment in Emergency Situations - a Practical Guide for Field Staff, UNHCR, Geneva, 1998.

 

 

 

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