広報活動(public relations)
57. 近隣諸国間が緊張状態にあり、現地レベルでも、難民の庇護が純粋に人道的行為である点を強調しなければならない場合がある。
庇護は純粋に人道的行為であり、敵対行為ではないこと、およびUNHCRのプレゼンスと介入が緊張緩和に寄与する点を強調する。
58. 他の国連機関や外交関係者、特にUNHCRへの支援や、UNHCR事業への資金拠出意思の早期表明などにより保護を促進する影響力をもつ関係諸国への状況説明には、特に注意を払う。
59. 国内/国際報道機関や外交団の訪問は、UNHCRの保護任務に対する理解を促進する可能性がある。現場の状況を報道されることがUNHCRの援助対象者を保護するうえでの助けになるかどうで、報道機関への対応の仕方が決まる。UNHCR内の様々なレベルでのきめ細かい調整が必要となる。UNHCRの現地事務所がすでにある場所では、前もって確立した地元(特に現地語)報道機関との密接な連絡関係が貴重な情報源となるだろうし、UNHCRの任務をよりよく理解してもらう上でも有効である。報道機関への対応に関する全般的ガイドラインは第9章に示した。
◆難民の身体的安全
はじめに
60. 避難国への入国が認められた後も、難民は依然として重大な身の危険を感じる場合がある。緊急事態では、とりわけ基本的人権の一部が脅かされ、法と行動による保護が特に必要となる。こうした脅威の原因は、出身国または庇護国、もしくは難民の属する集団自体から生じている場合がある。
キャンプの治安(security)
61. 出身国から武力攻撃を受ける危険性は、キャンプや居住地を国境から十分距離を置いた場所に設置するか、そうした場所へ移動することで緩和できる(第14章を参照)。また庇護国当局は、国境地帯と難民居留地周辺における軍のプレゼンスを増強する必要があるかもしれない。ただし、難民キャンプや居住地内に軍を置くことは回避すべきである。
62. 避難先の国では、難民の身体的安全に対する脅威(追放・強制送還、不法な拘禁、性的暴力など)の原因が、難民に対応する政府職員にある場合もある。
庇護国当局は、治安に対して最大の責任を負っている事実を自覚し、難民の安全と福利を確保しなければならない。
63. 事態の是正措置は、当局が断固として行なわなければならない。UNHCRは、適切な対応が取られるよう、難民および当局との接触を保つ。
64. 難民に対する犯罪的攻撃や強盗行為には、受け入れ国の行政当局と治安部隊が、UNHCRや難民共同体と緊密に協力して対処する。
65. 難民のなかに武装した者がいる場合、UNHCRは難民全員の調査と難民と武装している者の分離を促し、武装解除も促す。
66. 軍や警察がいる場合は、難民の女性と子どもの権利を守る意識向上キャンペーンや研修など、48節に記載した一般的措置が性的暴力を防止するうえで重要となる。
67. 難民集団内で争いが起きた場合、UNHCRはまず、難民たちによる調停を奨励する。それがうまくいかない場合は、庇護国当局に解決を求める。