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29. UNHCRが保護任務を効果的に遂行するためには、UNHCR職員は、難民と庇護希望者がどのような場所にいようとも、難民と庇護希望者に、自由かつ妨害されることなく接触できる必要がある。

 

30. 緊急事態の最初にとる行動が、重大で長期的な影響を与えうる点に留意する。そうした影響は継続的保護(国内にいる他の難民集団に対する保護も含む)と、恒久的解決策の促進の双方に及びうる。

 

迅速な配置、継続的なプレゼンス、自由な接触・連絡

31. 迅速な職員の配置は最優先事項である。

援助対象地域において、UNHCRの継続的なプレゼンス(存在・駐在)と、難民に対する直接的かつ妨害のない接触・連絡は、必要とされる限り、常に確立されているべきである。

UNHCRの任務を遂行する上で、自由な接触・連絡と継続的なプレゼンスは重要な支えとなる。難民女性が保護上の問題を話しやすくなり、問題が適切に認識・対処されるよう十分な人数の女性職員も必要である。

 

評価

32. 確かな保護には確かな情報が必要である。UNHCR職員は、多くの場合地元当局者と一緒に、難民が流入し滞在している全地点を訪れ、第5章の付表1「初期評価のチェックリスト」に挙げた問題点・疑問点について、難民から情報を集める(特に、難民の身元、出身地、避難理由、弱い立場にある集団の確認など)。さらに難民に対し、避難経路付近の情勢と、避難国に入国する際に直面した問題も質問する。

 

33. 情報源を多く確保し、直接に現場と連絡をとれるようにする。そうすればUNHCRが新たな避難民流入や保護問題に関する情報を速やかに得られる。こうした外部に対して開かれた情報収集網は、まだUNHCRのプレゼンスのない、首都から遠く離れた国境地帯に関しては特に重要となる。

 

34. 情報源としては、以下が考えられる。

 

□ 庇護希望者自身

□ 地方/中央政府当局

□ 地域共同体/宗教指導者

□ 国内/国際NGO(非政府組織)

□ 赤十字国際委員会(ICRC。駐在している場合)

□ UNHCR以外の国連/国際機関

□ 国内(特に現地語の)報道機関/国際報道機関

 

35. 可能な限り、中央政府当局が現状調査に参加すべきである。それによりUNHCRと中央政府当局間、中央と地方政府当局間で誤解が生じる危険を減らすことができるからである。

 

ノン・ルフルマン原則の徹底

36. ノン・ルフルマン原則と基本的人権を尊重させる最善の方法は、国家当局のあらゆるレベルで意識を高めることである。危機状況では、正式な訓練はできないかもしれないが、難民キャンプ管理者、地方当局、軍人、国境職員と日々接触する中で、ノン・ルフルマン原則を明快に示す必要がある。追い返された難民がどんな事態に直面するか具体例で示し、命を失う場合もあることを当局関係者に伝える。地元住民の意識向上も必要で(その機会はメディアが提供しうる)、世論も大きな影響力を持ちうる。

 

 

 

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