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b) 難民および庇護希望者は、国際的に認められた基本的市民権、特に「世界人権宣言」が定める権利を享受する。

c) 難民および庇護希望者は、すべての必要な援助を受け、食糧、避難所、基本的な保健衛生施設など、基本的な生活必需品を提供される。この点において、国際社会は、国際的連帯と責任分担の原則に従う。

d) 難民および庇護希望者は、その悲惨な状況の故に特別な理解と思いやりを必要とする者として扱われる。また、残忍、非人間的、あるいは尊厳を傷つける扱いを受けてはならない。

e) 人種、宗教、政治的意見、国籍、出身国または身体的障害を理由とするいかなる差別もあってはならない。

f) 難民および庇護希望者は、法の下で人として認められ、裁判所その他の権限のある行政当局を自由に利用することができる。

g) 庇護希望者の滞在場所は、その安全と福利、および受け入れ国の治安上のニーズにより決定される。庇護希望者は、できる限り、出身国の国境から相応の距離をおいた場所に滞在すべきである。また、出身国その他の国に対する破壊活動に関与してはならない。

h) 家族の一体性を尊重する。

i) 親族を見つけるために、可能な限りの援助が提供される。

j) 未成年者および保護者のいない子供を保護するための適切な処置を行なう。

k) 郵便物のやり取りを認める。

l) 友人や親族からの物的援助を許可する。

m) 可能な場合には、出生、死亡、婚姻につき適切な登録について適切な処置をとる。

n) 難民および庇護希望者は、満足に足る恒久的解決を得るために必要な、あらゆる便宜を受ける。

o) 難民および庇護希望者は、避難国に持ち込んだ資産を、恒久的解決策が得られた国へ運ぶことを許可される。

p) 自主帰還を促進するためあらゆる措置を講じる。

 

一時的保護

26. 国によっては「難民」について狭義の定義を採用し、武力闘争から逃れてきた人々を難民に含めない(これらの人々は、例えばアフリカ統一機構〈OAU〉難民条約の定義では、難民とみなされる)。こうした狭義の「難民」を採用している国は、明らかに国際的保護が必要としているのにこうした狭い定義に該当しないため、あるいは人数が多すぎて個別の難民認定が不可能なために、難民認定が難しいと考えられる人々に付与される保護を、「一時的保護」としてきた。

 

27. 一時的保護の基本的要素は、以下のようなものである。

i. 避難国への入国許可。

ii. 基本的人権の尊重と国際的に認められた人道的基準(例えば上記の基本的な難民の処遇基準)に従った取り扱い。

iii. 追放・強制送還からの保護。

iv. 出身国の情勢が許す場合の自主帰還。一時的な保護政策のもと入国を許可された者は、一般に、難民と認定された人と完全に同じ恩恵を受けることはできない。

 

◆初期行動

 

はじめに

28. 難民の保護を確保するためにUNHCRが介入する際の法的基盤は、上記の条約類にある。ただし、往々にして条約そのものよりも、実際にどのような行動をとるべきかが重視される。

保護は、法律の一字一句よりも、UNHCRのフィールド職員による迅速かつ適切な行動に左右される場合が多い。

 

 

 

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