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入国許可とノン・ルフルマン(追放・強制送還の禁止)原則

9. 最も緊急に実施すべき優先事項は、難民の庇護を受ける権利(right to asylum)が尊重され、彼らが帰還を強制されないようにすることである。

 

ノン・ルフルマン原則

10. 最も重要なのが、ノン・ルフルマン(non-refoulement)原則である。この原則は、1951年「難民条約」第33条第1項に、以下のように規定されている。

「締約国は、難民を、いかなる方法によっても、人種、宗教、国籍若しくは特定の社会的集団の構成員であること又は政治的意見のためにその生命又は自由が脅威にさらされるおそれのある領域の国境へ追放、または送還してはならない。」

ノン・ルフルマン原則には、国境で難民を拒絶したり追い返さないこと、および入国後、迫害に直面する恐れのある国へ追放しないことが含まれる。

 

11. 1951年「難民条約」は、難民のノン・ルフルマン原則について、極めて限定的な例外しか認めていない。すなわち、滞在国の治安上危険であると考えられる相当な理由がある人物、または、特に重大な犯罪につき有罪の判決が確定しており、滞在国の社会にとって危険な人物のみが例外とされる。

 

12. ノン・ルフルマン原則は、世界レベル、地域レベルで採択された多くの条約において、明確にうたわれている。

 

13. ノン・ルフルマン原則は、その根源的かつ普遍的性格ゆえに、国際慣習法の原則、ひいてはすべての国に対し拘束力を持つ原則と認識されている。

ノン・ルフルマンは国際法の原則であり、1951年の「難民条約」やその他の国際難民に関する条約の当事者であるか否かにかかわらず、すべての国に対して拘束力をもつ。

 

入国許可

14. 庇護希望者(asylum seekers)は、人種、宗教、国籍、政治的意見または身体的障害による差別なく、避難を希望する国への入国を許可されなければならない。世界人権宣言は、以下のように定めている。

「すべての人は、迫害を免れるために他国に避難することを求め、かつ、避難する権利を有する。」

 

15. 国連総会はUNHCR事務所規程を採択する際、各国政府に対し、自国の領土内に難民を受け入れ、高等弁務官の職務遂行に協力するよう要請した。

 

16. 難民は避難途中にあるため、通常の入国条件を満たせない場合がある。1951年「難民条約」は、法的に必要な手続きなく庇護国に入国した難民を処罰しないよう各国に義務づけている。

 

地位の認定(status determination)

17. 難民の地位は、「一応の(prima facie)」集団認定に基づき、または個人ごとの認定により付与される。

 

18. 多数の庇護希望者が短期間に殺到する緊急事態の初期には、集団を構成する一人ひとりについて難民の認定作業を行なうのが非現実的な場合が多い。

 

 

 

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