5-1-3 入手可能なGlS資源の積極活用
GISは、決められた機能を発揮するだけのシステムではなく、利用する業務、利用する人によって、多様なメリットを引き出すことが出来るシステムである。従って、たとえ他自治体でGISが活用され効果を上げている業務であっても、何よりまずその業務におけるユーザーである職員がGISの利便性やメリットを理解できる環境を整えることが、各自治体に適したGISの設計・構築にとって重要なアプローチといえる。
ユーザーが日常的に、どんどん触れて使ってみる環境を作るために、自治体のデジタル地図の整備が不完全の場合などは、国、関連公共機関や民間の地図データの貸出し・販売されているものを最大限に活用できないか検討してみることは重要である。また、昨今では、かなりの種類の業務パッケージソフトが市販されるようになったが、世界的な標準化動向を踏まえたものになっていることが多いので、自治体の全庁型GIS導入の一つのルールである技術的基準を守っているかなどチェックして、購入することも検討するに値する。また、ハードウェアやソフトウェアについても、その互換性・相互操作性が進み、既に利用している情報システムの仕組みの中で利用できる、安価で使い出のある業務パッケージが多く見られるようになっている。データの互換性など、全庁での利用方針にあったものを選び、業務の中で実際に活用してみる、といった姿勢は次のステップにとっても重要となる。
5-1-4 継続的な情報収集
GISはその技術動向、製品動向、民間・公的機関における活用形態の動向、データの提供に関する情報、国やGIS関連機関の研究活動状況など、GISを取り巻く状況は、今めまぐるしく変遷している。GISの導入を考える自治体にとって、最新の情報を知り、必要な情報を各自治体のGIS開発・構築フェーズに反映させることは必要不可欠である。
また、置かれた環境がいくつか類似している自治体のGIS導入事例、あるいは類似した業務内容・業務量を保有する自治体の業務における導入事例を調査すると、多くの示唆を与えてくれる。身近な事例は、課題の解決策の宝庫である。