4-1-2 自治体の規模
自治体の規模が大きいほどGIS導入への関心は高い。1994年に地理情報システム学会の地方公共団体部会によって実施されたアンケート調査(「自治体におけるGIS取り組み動向」、1994地理情報システム学会誌)によると、GISを活用中または導入中と回答した地方自治体の率は、人口規模に比例して高くなっていることが示された。この調査は、前述の関係省庁連絡会議が実施した調査と比べて、回答率が低い(42%、1430団体)ため、回答のあった自治体はもともと関心が高いと考えられることを勘案しなければならないが、100万人規模以上の都市では、1994年で既に100%に達し、10〜50万人規模の都市で33%、2〜5万人規模で13%となっている。
しかしながら一方で、規模が大きい自治体ほど、GISを用いた業務システムも大規模で複雑な仕組みを要求されることが多く、そのシステム構築・データの整備作業も大掛かりで、コストも大きくなる。むしろ小規模な自治体ほど、これらのシステム構築・データの整備にかかる経費を低く抑えられる分、GISを導入し易いということがいえる。これは、いわゆる大掛かりな情報ネットワークシステムの構築と異なり、所轄部署で1台のパソコン端末があれば、GISを活用した業務システムとして稼動できることも大きな要因である。