第4章
地方自治体におけるGIS導入時の課題の整理
4-1 自治体固有の現状の認識
GISの導入にあたり、各地方自治体が同じような方法でアプローチすれば同様の効果が得られるというわけではない。GISの導入に関わってくると思われるそれぞれの自治体固有の現状をまず認識してから、GlSへの構築・展開に臨むことが肝要である。ここでは、特に注目すべき3つの観点、自治体の地域の特徴、自治体の規模、情報ネットワーク環境の整備状況について、GISの開発・導入にどのように関わってくるのか整理することとする。
4-1-1 地域の特徴
民間が販売するデジタル地図は、その需要の大きさから都市圏の地図を中心に提供されている。また、国土地理院の作成する大縮尺数値地図も都市圏から整備されているため、そのどちらからもデジタル地図を入手できない自治体は、ローカルな地域に偏っているという現実がある。これらの自治体では、外部から地図を購入するという選択肢が用意されていないため、各自で自前の地図を作成していくことになる。
また、GISを導入した場合の活用方法・導入の進め方などに影響を与える特徴としてはその他に、
・ビルや集合住宅が多く、住民の出入りの多い地区があるか
・新興住宅地のように、住宅地開発が活発な地区があるか
・山林・遊休地が多い地区か
・出入りの多い地区と、少ない地区が混在しているか
・固定資産税評価業務があるか
などについても、把握しておく必要がある。