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このアプローチでは、GISを活用した業務は基本的には従来の業務を効率化、高品質化することを主目的としているので、活用時の業務イメージがとらえやすい。また他業務への展開時は、精度の高い基図に適した既存地図データを足がかりにできるため、分析など多様で高度な機能の活用イメージを設計しやすい。

 

(2) 他の領域から構築していくアプローチ

しかしながら、東京都特別区のように、領域Iにあたる諸業務の多くが管轄外である自治体や、地籍図、地番図が未整備である自治体は、これらの整備を待って領域Iから導入することは現実的でない場合が多く、他の領域からGISを導入していくことになる。このような自治体の多くで、領域IIに位置づけられる都市計画業務へのGIS導入から実現される例が多く見られる。都市計画業務では、領域Iの多くの業務が必要とする1/500精度と異なり、1/2500の地図が多く利用されることから、地図の作成・購入が比較的容易であり、市販のアプリケーションソフトを適用するなど構築手段の選択の幅も広い。この場合、他業務への展開時には、都市計画基本図の一部を共用地図として利用することとなる。

領域IIIの分野についても、求められる地図の精度は、1/2500あるいはそれ以下であることが多い。この分野についても、最近は多様なアプリケーションソフトが市販されており、ある程度のカスタマイズ作業でシステム構築できるものもあると思われる。領域II・IIIのうちの分析・設計業務の多くは、GIS活用によって従来の業務の方法にとらわれない新たな分析・設計手段が得られることになる。そこで、領域Iを経ずにGISを導入する場合は、活用イメージを十分に理解できるようにいろいろな機会を捉えて機能や操作を調査しておくことが重要であろう。

 

 

 

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