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まず定量的な効果を測定する際の基本的な考え方として、金額換算が容易な作業時間の短縮と、従来必要であった費用の削減、の二大削減項目があげられる。これらの定量的な効果がもたらす波及効果の例として、単純作業の削減による専門性の高い作業の増大、つまり付加価値の高い業務サービスヘの効果の質的転換があげられる。定性的な効果については、これまで出来なかった分析などの業務が可能となるような場合に多く現われるが、単一の部署内に限らず、他部署との相互利用による効果についても、積極的に明文化しておくべきであり、可能な限り、時間・金額への換算を試みることが望まれる。さらに将来、外部企業とのGISを活用した情報の受け渡しコストが大幅に削減されるような場合には、長期的な定量効果の分析についても考慮し測定することができる。

また、定量化できる導入効果については、費用対効果という観点で分析していくことになる。ここで経費については、地図データの作成、データベース構築、システム開発、あるいはパッケージソフト購入費用など、一時的にかかる初期経費のほか、ハード機器のリース料/保守費用、データの更新管理費用などの経常的経費について可能な限り詳細に調査しておく必要があろう。これらの経費に対して、GIS導入によってもたらされる経費削減の効果が算出されることになる。

 

3-2-2 GIS導入に適した行政業務分野

 

固定資産税管理業務は課税客体情報の管理・検索が必要な業務であり、業務効率性の向上が実感できる業務である。一方、都市計画における公園や施設などの立地計画業務などは、GISのシミュレーション業務を基に意思決定がなされている。このように、GISの持つ様々な機能に適合する業務がある。GISに適合する業務を分類し検討することで、GISの行政業務における適用範囲を整理していく。

 

(1) 導入の効果が明確に現れやすい業務

既に述べたように、市町村の9割以上は何らかの形で地図を作成している。GISを導入し、仮に地図作成・更新のコストと手間が軽減されたのであれば、導入の効果を明確に測ることができる。従来にないシステムを行政業務に導入する場合、効果が明確に現れやすければ、導入の決断を下しやすい。この効果には量的なものと質的なものとがある。

 

 

 

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