地方自治体レベルにおいても、各自治体で作製したさまざまな空間データを、インターネットを通じて、無料で自由に、表示、転送を許可しているケースが増えてきている。アメリカでは地方自治体の多くがインターネット上でホームページを作成しており、各自治体におけるを利用しているケースは極めて多いが、ダウンロードを許可しているファイル形態としては、ARC/INFO、DXF等の二次加工が可能な形で供給している自治体と、Acrobat Reader 等のイメージ文書ファイル形式で供給している自治体とがある。
(テキサス州におけるファイル転送による空間データの提供例:ftp://ftp.tnrcc.state.tx.us/pub)
4] 自治体によるデジタルマップ及びアプリケーション・インターフェースの販売
(ニューヨーク市都市計画局の例)
ニューヨーク市都市計画局では、前述のTIGER空間ファイルを参考に「LION(Linear Independent Ordered Network)」ファイルの構築を1983年より開始し、更新・運用している。GISの構築・運用には都市計画局の中のGIS部局30人で対応しており、半数はプログラマーという技術者集団である。
これらの地図データは、商品名「BYTES of the BIG APPLE」として販売されており、DXF形式とMIF(MapInfo Interchange Format)形式のファイルで一般に広く提供されている。現在、インターネットによる提供は行われていない。この地図データは、庁内では都市計画局以外の殆ど全ての部署で活用されている。ちなみに市の教育委員会では、毎年2000の公立小中学校に通う60万人の児童・生徒の通学資格申請の際、通学距離を求めるシステムに、また市の交通局では、地下鉄やバスの運行経路の決定システムに利用されている。また、地図データを利用するためのプログラム・インターフェース「地理サポートシステム(Geo Support System)」も、ユーザー手引書と共に開発・販売しており、ユーザーは、このインターフェースを業務プログラムに組み込むことで、簡単に地図データを扱う独自の業務プログラムを作成することができる。実行システム環境は、IBMのCICSとなっている。