1975年から、連邦政府機関である米国地質調査所(United States Geological Survey, USGS)でデジタルマップ作製のプロジェクト(National Digital Cartographic Data Base, NDCDB)が開始され、これらの成果が、政府関係機関、全国の地方自治体、また民間企業におけるGISの導入に生かされ1980年代における飛躍的な普及につながった。
2] 地方自治体における利用の拡大(1980年代)
1980年代は、特に自治体においてGISの利用が浸透していった時期である。いくつかのGIS関連団体も設立され、1980年代に完成した全国的に発行されている1/100,000縮尺地図(DLGシリーズ)は、後述の国勢調査においても基礎データとして使用されることになった。1988年、全米科学財団(NSF)により、GISの基礎研究を組織的に行うために、カルフォルニア大学サンタバーバラ校を中心に全米3大学からなる国立地理情報解析センター(NCGIA)が設立され、ここがアメリカにおけるGIS研究の重要な拠点となった。
3] 国家レベルによる空間データ基盤の整備(1990年代)
1990年の国勢調査では、TIGER(Topologically Integrated Geographic Encoding and Referencing)ファイルと呼ばれる空間データベースが作製された。このアメリカ全土を網羅した空間データベースはその精度・表現方法が統一されているわけではないものの、データベース構築は国家レベルでの空間情報インフラの整備の重要な一歩となり、その後主に行政機関におけるGIS利用を大きく飛躍させた。