基本的な地図データベースはCD-ROMに収録し、各車両に配備されているが、更新作業が求められる設備情報は、携帯端末を持った緊急車両が車両内電話によるデータ通信を利用し、本部の地図データベースを検索する。また、作業状況を本部司令室に画像つきで送ることができる。本部司令室では車両の位置および状態を管理し、的確な配車指示を送ることが出来る。
2-3 海外事例
地理情報システム(GIS)の研究は、1950年代アメリカで始まったと言われているが、GISの世界的なレベルでの普及は1980年代となる。GISの普及における先駆的な役割を果たした国はアメリカとイギリスであるが、どちらも国レベルで研究・利用への整備の取り組み等を始めたことが、その後のGIS利用の急激な拡大とGISビジネスヘの大きなベースとなっている。ここでは、GIS先進国であるアメリカとイギリスにおける国・地方自治体におけるGISへの取り組みの現状と地方自治体における利用状況をみる。
2-3-1 アメリカ
まず、アメリカにおけるGISへの取り組みの歴史と、GIS発展の過程で設立された関連組織とその役割について概観する。また、現在においてもGISを活用している最大のユーザは、連邦であり、州、地方自治体であるが、そのGISシステムの構築と利用、GISデータの提供においてそれぞれ積極的に取り組んでおり、日本でも参考となる点が多い。
(1) GISへのこれまでの取り組みの軌跡
1] アメリカのイニシアティブ(1950年代から1970年代まで)
アメリカにおけるGIS研究の歴史は古く、1950年代の国防省の軍事研究(SAGEプロジェクト)から始まったといわれている。これは1960年代のコンピュータマッピングの研究に、そして地図描画のための様々なソフト開発に発展していった。一方、地理情報の空間分析としてのGIS利用として、それまでの研究成果は1970年の国勢調査で、またその後の資源管理分野においても利用されるようになった。