2-2-1 ライフライン関連企業
電力会社、ガス会社など、ライフライン関連企業は、国民生活に不可欠な資源を供給するために巨大な設備を持っている。さらに、保守の不備は甚大な被害をもたらす恐れがあるために、常に設備の保守に気を配り、設備老朽化部分を発見し、補修する必要がある。1/500の超大縮尺図が用いられてきたのも、その位の精度が要求されたためである。
しかしながら、図面の量が多いために、その維持管理、設備情報の更新には多大な時間と労力がかかっていた。このため、設備図面を数値化し、コンピュータで管理するデジタルマッピング技術を非常に早い時期から採用し、設備情報の更新に活用していた。そして、「設備管理」(Facility Management)のGISとして、一つの活用領域を形成している。
また、GISで情報を一元的に管理することは、電力設備、ガス設備の保安レベルの向上にも寄与している。例えば、ガス漏れ事故が発生した際には、閉鎖すべきバルブを閉鎖し、その影響を受けそうな家庭を把握することが急務となるが、これはGISを利用することで迅速に対応できるのである。
近年では保安用緊急車両と本部司令室との情報共有により、事故、火災、災害などの非常時の応急処理対応がさらに迅速化している。これは携帯端末の導入がもたらしたものである。後述するモバイルGISは、設備の最新情報を把握するための、新しい活用法として注目されている。
(1) 電力
東京電力では、電力設備の計画・管理・設計から、工量、材料費などの精算まで行う地理情報システムを導入している。
管理計画システムの運用例を説明する。受電申し込みに対し、まず供給エリアや変電所情報をGISで検索する。次に、ガス、電話など関連他業種の既設実態を確認しなければならない。