(b) 先行複数部署GISシステム間の分散・協調型アプローチ
複数部署で、既にインターフェースの異なるGISシステムをスタンドアロン型で利用している自治体で、共用化の仕組みとして、各所管部署にシステム開発を任せ(分散)、類似業務についてはグループ化を行う(協調)ものである。つまり、データはそれぞれの部署が管理しながら、データ交換の仕組みを構築し、分散管理・協調利用していこうというものである。複数のシステムのインターフェースを協調させながら、データを共用していくため、上記(a)のアプローチに比べて、複数部署間での調整機構、庁内でのルール作りが重要不可欠となる。
(c) はじめに全庁型ありきのアプローチ
まだGISが導入されていない自治体にみられるアプローチである。始めから、GISを複数部署で利用することを見こして全庁的な観点で設計・構築するため、ある意味で理想的な統合型のGISを作り上げることができる。現在では、ハードウェアもソフトウェアも、多様で高機能な仕組みを安価に提供できるようになったため、このアプローチが可能な自治体にとっては、コストパフォーマンスの高いシステムが構築できるともいえる。ただし、ここでよく指摘されているのは、トップダウンによるGIS構築となるため、GIS導入の機が熟していない部署に対しても、庁内一律で進められてしまい、十分な活用ニーズの分析ができないままに導入されるリスクがあることである。
2] GIS共用化のための方策
(a) 共有化可能な基本的な地図データの選択と構築(基図データの検討)
複数部署でGISを導入する時、それぞれの業務で使用している地図レイヤーの集合の中の、一部の基本的な地図レイヤーの集まりが、複数の業務に横断的に、共通に存在することになる。地図データの作成に多くの労力・コストをかける場合、GIS導入コストを削減するための方策として、共通に活用できる地図部分を重複することなく作成し、複数業務で共用することが出来るような検討をする自治体が増えている。この共用化可能な基本的な地図データを基図と呼ぶ。また、将来的にGISの導入部署が増えていく際の重複投資の問題を予め最小限に抑えるためにも、自治体にとって最適な基図の検討は極めて重要と考えられている。