デジタル化された市内全域図や道路図・住宅地図には、住民情報、災害避難施設情報および危険地区情報といった属性情報を追加され、平常時には防災計画策定に利用し、災害時には市役所に集められた詳細な被害情報をGISで分析・整理し、被害状況として視覚化する。市役所と県庁、消防本部、学校、病院、公民館や福祉施設などの公共施設はネットワークで結ばれており、市役所の防災GISで整備された被災情報がこれを通じて各方面に提供される。
3] 環境分野
近年、地球環境保護の潮流のなか、行政機関による地域環境に関する調査と監視が求められている。また環境問題は複合的な原因から生じることが多い。このため地域環境調査による現況把握と適切な対策の提示のために、総合的な情報を集め、分析する必要が出てくる。
そこでGISを応用することにより、河川の水位データ、空気汚染データなどの環境汚染の状況をリアルタイムに把握することが可能になる。衛星写真や各種の観測データはGISによって解析され、過去数十年の環境変動の追跡から、住民に及ぼす影響を評価すること、データ解析や数値シミュレーションといった作業から将来的な環境変化を予測することなど、環境の多面的な把握が可能になる。
GISを用いて集計・分析した環境情報は、開発行為に対する審査業務の支援に用いられるほか、環境教育の支援など、住民、事業者に対しての環境情報の提供にも役立てられている。
(3) 住民向けGIS
従来、GISの活用分野は、行政業務の効率化・迅速化の観点から捉えられてきたが、近年の住民による行政情報開示の要望は、住民向けGISの実現という点から考えられるようになった。