(2) GISが導入されているその他の業務
1] 医療・福祉分野
近年では来たる高齢化社会に行政サービスも対応すべく、医療・福祉関係の業務が増大しつつある。そこで、この分野にGISを活用することで、行政業務の層の効率化・迅速化が図られることが期待されている。
厚生省による保険医療福祉分野における情報化実施指針においても、在宅医療、在宅介護サービスにおけるGISの活用および、GISの活用による地域のネットワーク化の促進など、GISの果たす役割に期待が寄せられている。
例えば、福祉サービスを受ける高齢者の所在状況と、医療・福祉サービスを提供する施設の情報を同じ画面に表示することで、地域の医療施設、福祉施設が十分かどうか、視覚的に判断し、政策決定に応用することが可能になる。
また、PHSを利用した、排個老人の位置確認や高齢者用送迎バスの位置情報の検索・管理など、近年の新しい技術をGISに応用したものや、医療施設、福祉施設情報や、バリアフリー状況の情報を住民に提供する「住民向けGIS」の分野において、すでにGISが導入されている。
2] 防災分野
地震や津波、台風など、自然災害対策においてGISは従来から活用されていたが、平成7年1月の阪神・淡路大震災を経て、災害情報を一元的に管理し、初動体制および復興計画を支援する防災情報システムの整備が急務となった。特に市町村は詳細な被害情報を収集・管理し、人員や救援物資の適切な配備のためにこの情報を各方面に提供する役割があり、GISを導入することにより、情報収集・分析・提供の迅速化が実現する。最近報告されている例では道路・建物・河川の被災状況や、避難所における住民の安否情報について、被災直後に派遣された職員が現場の状況を携帯端末で入力、災害対策本部に送信し、最新の被害状況を集計・分析し復旧対策に活用している。