3] 上下水道管理業務
上水道・下水道管理業務は前出のアンケートの結果によれば、上水道は459団体(14.4%)、下水道は464団体(14.6%)でGISの導入済みおよび導入が検討されている。
水道関係業務の基本地図は1/500で作成されているため、これらの業務では図面の枚数が膨大になり、その管理には多大な労力を要する。その一方で、工事等で図面を更新する機会も多い。
この業務にGISを導入し図面を管理すると、ディスプレイ上のデータとして設備の検索が容易になるほか、図面に部分的に修正を施した際にも、関連するすべての図面に修正個所を反映させられることが報告されている。このほか、平面図・縦断図・横断図の作成や、蓄積されたデータを利用した迅速な計画策定にも利用されている。
(a) 上水道管理システム
上水道管理業務は、1]水道管の維持管理2]水道管埋設図の作成・更新3]漏水・断水などの緊急対応が主要な業務であるが、そのいずれも、上水道の位置を正確に把握し、適切な処理を行う必要があるものである。GISを導入している自治体では、該当個所の水道管埋設図の効率的な検索に利用されている。
例えば、水漏れの通報を受けたとき、画面上に現場の地図を表示し、その水圧や流量を調べると同時に事故管を拡大表示し、事故の詳細情報を表示させるのに利用される。
(b) 下水道管理システム
下水道管理システムでは、数値情報化された1/500の地図を用いる。これは行政界・道路・河川・建物などの地図情報と、管渠(かんきょ)、マンホール、桝などの下水施設情報から構成され、画面上に表示されている。詳細情報を知りたい設備を選択し、別ウインドウに表示することや、個別調書として出力することに利用される。また、図面の一部を切り出して、新たな図面を作成する場合にも利用される。切り出す範囲と角度の両方が指定可能であり、縦断図や横断図を表示することも可能である。さらに、紙図面では複数の図面にまたがる部分の施設も、GIS上では切れ目なく表示することが出来るため、図面の検索機能と合わせ、大幅な作業効率の向上が報告されている。