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2] 情報検索の迅速化

地図や属性情報を迅速に検索できるので、住民の問い合わせに対して迅速に対応することが出来る。これは業務の効率化と住民サービスの向上に寄与する。

 

3] 情報の総合化による分析力の向上

部門を越え、組織も越えたレベルから、幅広い情報を取り入れ、分析・解析のために総合化して利用することが出来るため、意思決定の正確性・迅速性を高める。

 

1-2-2 GISの歴史

 

GISの原形は、コンピュータ発祥の地アメリカで誕生し、自治体や民間での利用も早い時期から普及していった。日本ではこれにかなり遅れてGISへの研究・利用への取り組みが始まった。日本でのGISへの取り組みはアメリカに比べ、今でもかなり遅れていると言われている。ここでは主に、アメリカと日本におけるGIS研究、取り組みの歴史について3期に分けてみていくこととする。

 

(1) 初期のGIS(1950年代〜1970年代)

GISの研究の起源は1950年代のアメリカ国防省の北米防空システム(SAGE)であるといわれている。1960年代初頭、カナダ農林省で開発され、森林資源の管理のために用いられたカナダ地理情報システム(CGIS)は、現在のGISに近い概念で設計されていた。一方アメリカでは、1964年にハーバード大学に設立されたコンピュータグラフィクス空間分析研究所がマッピングソフトを開発し、このソフトがアメリカ内外500以上の大学や研究機関で利用されGISにおける地図作成機能に大きな影響を与えた。

1970年代に入ると、連邦政府や地方自治体においてGISは試験的に導入され、国勢調査局(The US Bureau of the Census)や地質調査所(United States Geological Survey, USGS)でGISの研究および開発が積極的に進められるようになった。その成果を受けてニューヨーク州、カリフォルニア州などで、都市計画、地域計画、環境評価においてGISが利用された。

日本でも、1974年に西宮市と北九州市をモデル都市に、建設省の都市情報システム(UIS)の構築が試みられた。しかしながら、当時は時機尚早と言うこともあり、残念ながらその後の普及にはつながらなかった。

 

 

 

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