この要素別の透明の板はレイヤ(layer:層)といい、デジタル地図の重要な概念の一つである。 このレイヤを目的に応じて必要なものだけ選んで表示すれば何種類もの主題図(利用目的に応じて、特定の事象を強調した地図)を容易に作成することが出来る。この重ねあわせ処理のことをオーバレイという。
業務ごとに異なるレイヤの組み合わせの地図を使っているが、道路や河川など、多くの業務で共通して使われているレイヤがあり、これをまとめた地図は、いかなる業務においても基本となる図(基図)となる。基図概念はGISにおけるデータ整備の労力を軽減し、複数庁間で地図を共有するための方策として注目されている。
4] ラスターデータとベクターデータ
GISで用いられるデータは、ラスターデータとベクターデータの2種類がある。ラスターデータは地図を画像情報として電子化したものである。したがって、地図は細分化された点の集合として表示される。したがってデータ量が非常に多くなり、地図を拡大すると精度が荒くなるが、スキャナーから地図を読み込ませるだけなので入力の労力は少なくてすむ。
ベクターデータは地図を点、線、面の集合として再構成し電子化したものであり、点、線面それぞれに属性情報を関連付けることが可能である。同時にデータ項目ごとに分類管理することが出来るため、データ量が少なくてすむが、既存地図をデジタル化する場合には、項目ごとにトレースする必要があるため入力に非常に手間がかかる。