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1] デジタル地図の作成・入手

デジタル地図等のデータ整備費用はGISの構築費用の大きな割合を占めている。その整備方法は、利用者が自らデジタル地図を作成する方法と、市販されているデジタル地図を購入する方法がある。自らデジタル地図を作成する場合は、既存地図をデジタル化する場合と、新規にデジタル地図を作成する場合がある。前者の場合、都市計画図や地籍図、地番図などを入力原図として選び、デジタイザやスキャナーを用いて入力する。入力誤差や編集誤差が生じるが、地図化したい項目を絞ることが出来るうえ、安価にデジタル地図を作成できる。後者の場合は、空中写真測量等によるデジタル形式の測量データをデジタル地図化する。非常に精度の高い地図を作成できるが、作成費用は高価である。市販されているデジタル地図を利用する場合は項目や精度が多様であるので、必要に応じて導入される。

 

2] 位相構造化されたデジタル地図

建物・道路など、地上に存在するものを地物というが、地物の相互の隣接関係や接続関係について、そのままではコンピュータは認識できない。これをコンピュータに認識可能な形となるよう処理を施すことが必要になる。

これを位相構造化という。この作業は、道路や建物の形状を、ポイント(point:点)、アーク(arc:線分、ラインともいう)、ポリゴン(polygon:多辺形)の3要素からなるものとして再構成し、隣接関係、接続関係をコンピュータに認識させるものである。

 

図表1-2 ポイント・アーク・ポリゴン

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ポイントならば座標値を、アークならば始点と終点の座標値を、ポリゴンであれば、境界となるポイントおよびアークの座標値をデータとして格納する。接続関係であれば、共通のポイントを持つかどうかで判断できる。隣接関係であれば、複数のポリゴンで共通する境界線分となり得るアークを検索することで認識できる。さらに、ポリゴンの閉じる方向の認識は、アークに与えられた方向性から判断される(ポリゴンを構成するアークを境界線分として左多辺形か右多辺形かを判断することで、閉じる方向が判断される)。

この隣接関係、接続関係の認識は、後述する二点間の最短ルートを解析するネットワーク解析を可能にする。位相構造化がなされていない地図データは背景データとして用いることが可能であるが、GISの機能を十分に発揮させることは出来なくなる。

 

 

 

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