APECは、その文化、言語、歴史等において極めて多様な国・地域の集合であり、経済社会の発展の程度もまちまちである。電子商取引に関しても、域内における普及促進に関する議論が行われているが、情報通信インフラの整備状況等に相当程度の差が見られ、その多様性を十分に尊重しながら議論を進めていくことが重要である。我が国は、アジア・太平洋地域の一員であることを十分に認識し、また、アジア市場の有するポテンシャルを十分に引き出すべく主導的な役割を果たすべき立場にあることを認識すべきであり、電子商取引に関する知見を積極的に紹介し、ボトム・アップに貢献すべきである。
更に、これら多数国(地域)間における議論の他、必要に応じて二国間の議論を進めることも有効である。我が国は、本年5月、日米政府間の電子商取引共同声明を発表し、電子商取引を促進する上での基本原則、個別課題についての政策の具体的方向性について日米政府間の合意を示した。国際社会の枢要なプレーヤーである日米間における今後の共通の指標の合意は、両国間のみならず国際的議論にも大きな影響を及ぼしている。今後、我が国は、同宣言に明示された様々な考え方を国際的な議論に反映すべく努めていくとともに、他の諸外国・地域とも積極的に対話を行っていくことが必要である。
(2) 世界的な情報通信インフラの構築、相互運用性・相互接続性の確保
1] 世界的な情報通信インフラ構築に向けた動き
持続的な経済成長の実現、雇用の拡大、地球的環境問題の対応等の課題を解決する上で、情報通信の果たす役割が極めて重要であるとの観点から、各国において高度情報通信社会に向けた取り組みが進められてきたところである。また、平成7年2月には、ブラッセルにおいて、G7の閣僚会議が開催され、グローバルな高度情報通信社会の実現のための基本原則や具体的な政策課題、国際的な共同プロジェクトの推進について合意がされており、高度情報通信社会に向けた取組を世界的な規模で実施しようとする世界情報インフラ構想に沿った動きが進められている。