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III. 国際的なイニシアティブの発揮

 

(1) 電子商取引の制度的・技術的環境整備に向けた国際貢献

 

各国における高度情報通信社会の構築に向けた取組は、世界情報インフラ(GII)構想の実現に向けた発展の段階を経て、世界情報社会(GIS)の構築に向けた動きに移行してきている。世界情報社会の中核をなす電子商取引は、本質的にグローバルなものであることから、国際的なルールづくり等の基盤形成に関する国際的な議論が急速に進められてきている。我が国は民間の活動を中心にした実証実験やルールづくりを通して多くの知見や技術を有しており、また、電子商取引等検討部会報告書「電子商取引等の推進に向けた日本の取組み」において電子商取引を推進するための方針が明確に示されたところである。我が国は、今後の様々な国際的議論の場において、我が国の文化的価値観や商慣行等を踏まえつつ、これらを積極的に紹介する等により国際的なルールづくりに可能な限りの貢献をすることが必要である。

また、国際的なフォーラムにおける議論については、限られたリソースの中で最大の効果を得られるよう、各フォーラム間における作業の重複がないようにすることに注意を促しつつ、我が国として可能な限り貢献することが肝要である。主な個別の国際フォーラムにおける議論については、以下の点に注意して参画していくことが必要である。

OECDにおいては、本年10月にオタワにおいて開催されたOECD電子商取引閣僚級会議において合意された特に6項目の重点課題、すなわちプライバシー保護、電子認証、消費者保護、課税、情報通信インフラヘのアクセス及び電子商取引の社会経済的インパクトに関する問題についてOECDアクションプランにおける他の分野の作業に留意しつつ取組んでいくことが重要である。なお、電子署名等については、UNCITRALにおいて、電子商取引の法律的側面の議論を一層深化させることが必要である。その際、必要に応じ我が国の法的環境の特性を反映させるべく努力することが必要である。

WTOにおいては、電子商取引の貿易的側面に関する議論が進められており、関税についての考え方を整理すると共に、電子的手段を活用した自由なモノの流通及びサービスの提供が可能な限り確保され、電子商取引を一層促進するような環境を構築すべく議論に参加していくべきである。

 

 

 

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