特に近年、インターネットの普及・利用が一段と進む中で、高速・大容量・高品質の次世代インターネットの実現へ向けた取り組みが行われるなど、日進月歩の技術進展の中、技術の流れを先取りするような研究開発を推進していく必要性が高まっている。
このような観点から、以下の点に留意しつつ必要な施策を講ずる。
○多岐にわたる研究開発主体から、更に多様な独創的技術・新技術を効果的に引き出すため、研究開発の推進について競争的視点を一層盛り込んでいくことが必要である。
○高度情報通信社会を現実のものとするためには、研究開発成果が事業化等を通じて社会に提供されることによって、産業・社会や国民生活の高度化・効率化を図るとともに、ベンチャー企業等の成長を通じた新規産業・新規雇用の創出につなげていく必要がある。
○研究開発成果の事業化等の円滑化のため、欧米諸国で行われているように、研究開発成果である知的財産権を開発者に帰属させることで事業化へと誘導することといった手法の有効性が認識されるべきである。
○大学・国研等の技術シーズと産業界側のニーズを相互に認識した上での、真に有効な産学官連携の促進を図る。
○研究開発における国際協力の促進を図る。
○研究開発用超高速ネットワークをテストベッドとして広く民間に開放し、21世紀の超高速ネットワークの中核となる技術の研究開発を推進する。
(7) ハイテク犯罪対策、セキュリティ対策、プライバシー対策
高度情報通信社会の進展に伴い国民の利便性が向上する反面、情報通信技術を悪用したハイテク犯罪や不正アクセスのような不正行為、情報通信分野におけるプライバシー侵害の事例が増加している。高度情報通信社会の実現のためには、こうしたいわば「影」の部分に対しても、産業界による安全対策・プライバシー保護措置の実施や情報の種類に応じた政府による法制度の整備を含めた適切な対処が必要である。特に、ハイテク犯罪対策は、サミットにおいて先進国間共通の重要な政策課題として確認され、情報通信分野におけるプライバシー保護についてもEUで指令が採択されるなど、国際的な認識も高まっているところである。
こうした課題への対処としては、以下の対応を図る。
○コンピュータ・ウィルス対策や情報通信分野における暗号化技術の開発及び普及等を促進する。
○不正アクセスについては、所要の技術的課題及び必要な法制度の整備について早急に検討を進める。