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8] 知的財産権

 

電子化された情報はそもそも複製、改竄が容易であるとともに、情報通信ネットワークや大容量電子媒体の普及によって、特段資金も技術もない一般人でも容易にコンテンツを発信できる環境が整ってきている。電子商取引等の発展には、こうした情報技術の特性を踏まえた知的財産保護に関するルール作りが必要である。しかし、電子商取引等と関連する知的財産権問題においては、関係当事者間の利益の調整が複雑で、かつ、技術的解決が困難なものも多い。

政府としては、1996年に採択された新条約など世界知的所有権機関(WIPO)における検討の成果を踏まえつつ、知的財産権法制の見直しを推進するとともに、その他関連法制度等も含めた幅広い観点から適切な知的財産保護のあり方を検討していくべきである。また、知的財産権の保護に資する電子透かし等無権限利用防止に関する技術や知的財産管理技術の開発を積極的に支援することも求められる。

特に、著作権制度は、電子商取引等の発展に必要なコンテとツの質的・量的な充実を図る上で、必要不可欠な法的基盤であり、コンテンツの創作活動へのインセンティブを維持し、更に向上させるとともに、実際にソフトの利用が適切かつ円滑に行われるようにするために、著作物の利用をコントロールする措置等に関する望ましい制度上の対応や利用者のニーズに応じた円滑な権利処理に資する著作権権利情報の提供体制の整備等について早急に検討を進める。

なお、電子商取引等の発展のためには、これを支える基盤技術の工業所有権の保護も不可欠である。

 

9] ドメインネーム

 

ドメインネームはインターネットに接続されるホスト・コンピュータを表すインターネットにおける住所としての役割を有しており、インターネットを介した通信を行う上で、その重要性は日々高まっている。しかしながら、現状ではドメインネーム及びIPアドレスの不足、ドメインネームの国際的登録・管理の必要性の高まり、ドメインネームと商標に関する権利をめぐる紛争等、ドメインネームの抱える様々な課題が浮き彫りになってきている。

政府としては、インターネット利用者の利便性を向上させるため、これらの課題の解決に向けた検討を進めていくが、その際、ドメインネームの登録、管理制度については、国際的に開かれ、公平で、かつ、市場原理に基づいたものとすべきである点に留意する。また、登録された商標権の侵害が生じないよう、ドメインネームの登録の際の商標権への配慮や苦情処理体制のあり方等の検討が必要である。

 

 

 

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