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6] 取引一般に関わる制度

 

取引当事者間のルール設定は、従来の取引同様、私的自治を原則として当事者間において行われるべきである。ただし、取引当事者間によるルール設定の際に参照すべき電子商取引等における慣行等がまだ確立していない現時点においては、モデル約款やガイドラインは、法律関係を明確にし、取引についての不確実性を除去する点で特に有用であり、これらの策定にかかる取組みが促進されるべきである。

また、電子商取引等は、対面・書面による意思表示を前提とした現行民商法が想定していない局面が考えられるため、既存の方式要件や、無権限取引、債権譲渡の第三者対抗要件等については、新たに検討を行って、ルールの明確化が図られなければならない。また、約款の効力や契約への取込みについても十分検討が行われる必要がある。ただし、取引の多様性と急速な技術進歩や、1996年採択されたUNCITRAL電子商取引モデル法等の国際的な議論との整合性にも十分配慮し、取引実態の蓄積を見極めつつ、電子商取引等の円滑な発展を阻害することがないように留意すべきである。

 

7] 電子決済・電子マネー

 

電子決済・電子マネーは、現在揺藍期にあり、未だ典型的な形態が確立しておらず、今後も様々な新たな形態が生じていくものと思われる。その意味で、民間部門の技術開発や創意工夫など自由活発な試みを促進することが当面重要となる。他方、利用者の保護と決済システムの安定性の確保は、電子決済・電子マネーが利用者からの信認を得て、発展するために不可欠の前提である。

政府としては、この二つの要請のバランスを取りながら、当面、民間の動きを見守りつつ、この新たな分野について必要最小限の法的環境整備の検討を行っていく必要がある。

具体的には、今後、電子マネー・電子決済にかかる公正な取引ルールと利用者保護のあり方、電子マネー発行体の適格性要件、電子マネー発行体の破綻時の対応等について、十分な検討を行う必要がある。

 

 

 

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