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政府としては、このような電子認証技術の発展やガイドラインの整備等の自主的取組みを促進するとともに、海外に法規制を導入する国がある場合にも、それが必要最小限であり、かつ、他国の認証を差別的に取り扱って国際電子商取引等の障壁となるようなものにならないよう働きかけていく必要がある。さらに、信頼できる電子認証の公正かつ中立な国際標準を確立する動きを積極的に支援していくとともに、商業登記制度など現行取引においても認証等の用に供されている公的制度に基礎を置く電子認証制度や電子公証制度の整備についても検討を行っていく必要がある。

いわゆる電子署名については、手書きの署名や記名押印と少なくとも同等の法律効果を与えることとすべきであり、関係当事者の権利義務及び責任に関する基本的なルールの明確化を含め、そのための検討を進める必要がある。

なお、UNCITRALにおいて1996年より行われているモデル法作成作業に引き続き積極的に参加するとともに、こうした国際的な議論との整合性にも十分留意する必要がある。

 

2] プライバシー保護

 

情報通信関連技術の発展により、電子化された情報を情報通信ネットワークを介して大量かつ迅速に処理することが可能となっており、また、蓄積、検索、利用、改竄も容易であることから、プライバシー保護の必要性が以前にも増して急速に高まっている。電子商取引等の発展には自由な情報流通が不可欠であるが、その前提として、プライバシーについては確実な保護が図られなければならない。

しかし、個人情報の内容や用途、収集の方法は、業種業態毎に異なるため、基本的には、業種業態別に民間によるガイドラインの整備、登録・マーク付与制度の実施等の自主的対応が早急に推進されるべきである。一方、個人信用情報や医療情報等、機密性が高く、かつ、漏洩の場合の被害の大きい分野については、法規制等の公的関与が十分検討されるべきである。

政府としては、民間による自主的取組みを促進するとともに、法律による規制も視野に入れた検討を行っていく必要がある。また、プライバシーの侵害に対する消費者の不安感を除去するため、事業者に対し個人情報の保護内容について消費者に十分な情報を提供するよう促すとともに、消費者相談窓口の充実に努める。こうした取組みにおいては、1980年に既に合意を得ているOECDプライバシー保護ガイドラインや、昨今OECD等で行われている国際的議論との整合性にも十分配慮する必要がある。

 

 

 

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