政府は以上のような環境整備を行っていく一方で、情報通信関連産業の最大の需要家としての側面を有することを認識しなければならない。米国においては、長く政府部門が情報通信需要の先進的ユーザーとしての立場を務めている。我が国政府においても積極的に情報化の推進、情報通信関連調達の改善等に努めることにより、需要サイドの牽引を行うとともに、各省庁、地方公共団体等が連携して情報化による行政事務の効率化や行政サービスの向上を実現することにより、国民に対して情報化の意義を実体験として普及啓発していくことも重要である。
なお、こうした施策の推進に当たっては、本基本方針に基づく情報化施策の具体的な内容を明確に国民に示すとともに、実施した措置の事後的評価を含めたフォローアップを行うことで透明性を高めることとする。
II. 高度情報通信社会の実現に向けた課題と対応
我が国として今後対応すべき具体的な政策課題と、講ずべき施策の基本的方向については、以下のとおりとする。
(1) 電子商取引等推進のための環境整備
本年6月に、高度情報通信社会推進本部電子商取引等検討部会報告書「電子商取引等の推進に向けた日本の取組み」が最終的に取りまとめられ、今般同本部に報告されたことを受けて、政府としては、この報告書の提示した方向性に沿って、電子商取引等の推進に向けて積極的に環境整備を行っていく必要がある。
1] 電子認証
電子認証は、情報通信ネットワークを介してデータのやりとりをしている相手が真に本人であること、及びデータが改変されていないことを確認するためのものであり、電子商取引等の信頼性を確保する上で基本的な要素である。
しかし、求められる認証のレベルや機能は取引形態によって千差万別であること、様々な認証方法や技術が急速に発達していること、また、本件に関する国際的議論も引き続き活発に行われていることから、取引当事者同士がその取引形態に応じて、必要な認証を自由に選択できるようにしつつ、公的関与のあり方も含め、認証システム全体のあり方について引き続き検討を行っていく必要がある。
もちろん、電子認証の信頼性について判断材料となる情報が提供されることは重要であり、民間でのガイドラインの整備等による自主的な対応が促進されるべきである。