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資料3. 高度情報通信社会推進に向けた基本方針

 

平成10年11月9日

高度情報通信社会推進本部決定

 

I. 高度情報通信社会に向けた基本的な考え方

 

(1) 高度情報通信社会の意義

 

1] 高度情報通信社会の定義

 

高度情報通信社会とは、人間の知的生産活動の所産である情報・知識の自由な創造、流通、共有化を実現し、生活・文化、産業・経済、自然・環境を全体として調和し得る新たな社会経済システムである。このシステムは、制度疲労を起こした従来の大量生産・大量消費を基礎とするシステムにとって代わり、「デジタル革命」とも言える変革の潮流を生み、経済フロンティアの拡大、高コスト構造の打破、活力ある地域社会の形成や真のゆとりと豊かさを実感できる国民生活等を実現するものである。

 

2] 前基本方針策定時からの状況変化と改定の必要性

 

ここ数年間の全世界的なインターネットの爆発的な普及、電子メールの活用、携帯電話をはじめとする携帯情報端末の普及、グローバルな移動通信システムの出現等に見られるように、前「高度情報通信社会推進に向けた基本方針」策定時には想定し得なかったスピードで経済・社会の諸分野におけるネットワーク化が進展してきている。

また、前「高度情報通信社会推進に向けた基本方針」では触れられなかった電子商取引についても、数次の補正予算に基づく先導的な実証実験の実施や民間団体等によるガイドラインの策定等官民を挙げた取組みにより、本格的な実用化への気運が高まりを見せており、先進企業の中には、実際に電子商取引により利益を上げるところも出てきている。

さらには、「行政情報化推進基本計画の改定について」(平成9年12月20日閣議決定)において、申請・届出等手続の電子化を原則として平成10年度末までに可能なものから行うことが決定され、また「経済構造の変革と創造のための行動計画」(平成9年5月16日閣議決定)において、平成10年度末までに原則としてすべての指定統計の調査結果について、行政から国民への電子的提供を可能とすることが決定される等、「電子政府」の実現に向けた取組みがここ数年で進展を示しているところである。

このように、我々は今日、産業革命以降の「大量生産・大量消費」を至上命題とする経済社会から、「デジタル革命」による「情報の創造・流通」を基礎とする経済社会への移行、つまり新しい価値へのパラダイム・シフトをまさに目の当たりにしようとしている。

 

 

 

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