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3] 運用責任

 

多目的総合ICカードの運用上のさまざまな問題への対応、利用段階でトラブルが発生した場合の責任、措置等の問題も少なからず存在すると想定され、運用主体と責任範囲を明らかにしておく必要があろう。特に、民間ベースのサービスを組み入れた場合の官民の役割分担、責任範囲はかなり難しい問題であろう。

 

(6) 費用

 

ICカード自体、読み取り装置等の費用負担も多目的に活用することによって、複数機関の間でどのように配分するかが議論されなければならない。カードは発行主体が負担し、読取装置は設置する機関が負担することになろう。また、多目的に利用する場合の運用コスト、特にネットワークに関連する経費は多くの経費を伴うだけに、十分な対策が必要であろう。

民間機関のサービスを組み込む場合は、この経費負担はさらに複雑になろう。カードを利用する者の受益者負担、サービスを提供してビジネスを行なう者等の負担と手数料等の徴収、配分をどうするかも、複数機関が参加するだけに容易ではない。

 

(7) 普及

 

ICカードの今後の利用に関して、その普及、定着をいかに進めるかは大きな検討事項である。普及促進の検討の視点は、プラス面の増加とマイナス面の除去の2つがある。

 

1] プラス面

 

ICカードのメリットを大きくすることによって自ずと普及が進むであろう。そのためにも、1枚のICカードでどれだけのサービスが受けられるかという便利さがまず重要になる。多目的総合ICカードは、それ1枚で受けられるサービスのメニューを増やし、便利さを追求するものである。

住民基本台帳ネットワークにおける住民票カードが本人確認のための手段としてすべての行政機関において利用できるようになるということは、大きなメリットであり、国民の便利さの観点から大きく評価されると考えられる。また、複数の行政機関のアプリケーションにアクセスしたり、サービスを受けられるだけではなく、一度のアクセスで複数機関に関連するサービス等が完結するというワンストップサービスにつながることがポイントなると考えられる。

デビット・カード機能を組み込むことによって支払い処理も併せて実行できることが便利さを増すことは既述のとおりである。

ICカードの使いやすさも広く一般に普及させるための重要な要素であろう。

 

 

 

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