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米国においては、失業保険の不正受給を発見し、防止するために複数のデータファイルを照合するコンピュータ・マッチングが行われてきたが、プライバシー保護や市民の人権との関連が不十分であるという議論が起こり、1974年プライバシー保護法が1988年に改正され以下のように規定された経緯がある。

 

* コンピュータマッチングを行う行政機関は、マッチング処理の目的と法的根拠、マッチングされる記録の種類等を特定した取決めを行わなければならない。

 

* マッチング等によってもたらされる結果等について、個人は事実関係を争う機会が与えられる。

 

住民基本台帳法改正においても個人情報の保護に関してはかなりの厳しい規定があるがデータマッチングに関してはやはり直接的に規定していない。しかしながら、市町村長、都道府県知事等も住民基本台帳に記載されている個人情報の利用を目的の範囲内に制限するとともに、民間部門に対しても住民票コードの告知を求めてはならないと規定していることも、民間部門においてこの住民票コードによるデータマッチングが行われることを防ぐことを目的としているのである。さらに、住民基本台帳法30条の43第3項において、市町村長等以外の者が住民票コードを基にしてデータベースを構築することを禁止しているのも同様の趣旨であると考えてよいであろう。

 

「市町村長等以外の者は、何人も、業として、住民票コードの記録されたデータベースであって、当該データベースに記録された情報が他に提供されることが予定されているものを構成してはならない。」

 

6-4 運用上の課題と方策

 

ICカードの一般的メリット、デメリットは既に多くの記述があると思われる。ここでは、そのICカードの機能を総合化し、多目的に利用するとした場合の課題と方策をまとめておく必要があろう。

 

(1) 総合化のメリット、デメリット

 

単体として利用するICカードにも磁気ストライブタイプのカードと比較して多くのメリットが言われているところである。単体利用ではなく、多目的ICカードを総合的に利用する場合のメリット、デメリットについては3章、5章等で既述のとおりであるが、主なものをまとめると以下のとおりとなる。

 

 

 

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