「市町村の執行機関は、この法律に規定する事務又はその処理する事務であってこの法律の定めるところにより本人確認情報の提供を求めることができることとされているものの遂行のため必要がある場合を除き、何人に対しても、当該市町村の住民以外の者に係る住民票に記載された住民票コードを告知することを求めてはならない。」
「都道府県の執行機関は、この法律に規定する事務又はその処理する事務であってこの法律の定めるところにより本人確認情報の提供を求めることができることとされているものの遂行のため必要がある場合を除き、何人に対しても、その者又はその者以外の者に係る住民票に記載された住民票コードを告知することを求めてはならない。」
3] データマッチング
個人情報の保護で最も重要視される点は、データマッチングを認めるか否か、認められない場合におけるマッチングをどう防ぐかということである。1つ1つ独立した情報が個別に管理され、その範囲内で利用される場合は特に問題がない場合でも、複数の情報を蓄積、突合することによって本人の権利利益を侵害することになるおそれがあるというわけである。
日本において個人情報保護法の制定がいわれてきた背景には、コンピュータ処理により上記のようなマッチングが容易にできるようになったことが挙げられる。それを反映して制定された保護法は、『行政機関の保有する電子計算機処理に係る個人情報の保護に関する法律』となっている。
しかしながら、この法律の中でデータマッチングを直接的に記述してそれに対する制限等を付している規定はない。行政機関が保有し、利用できる個人情報は当該機関の所掌事務の遂行の範囲内であり、他の行政機関へ個人情報を提供する場合にも同様の厳しい制限が課されているので、複数機関から個人情報を収集し、突合するということは事実上、不可能であるということからデータマッチングを直接的に記述していないというのが本保護法の趣旨であるとされている。