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(b) 保有に関する事前通知

 

保有制限が規定され、所掌事務の範囲内でしか個人情報が保有されないこととなっても実際にどのような個人情報が各省庁で保有されているのかが分からないのでは、依然として不安は払拭しきれない。そこで、第6条の以下のような規定によって、各省庁がどのような個人情報を保有しようとしているかに関し、国の安全、外交上の秘密その他の国の重大な利益に関する事項を記録する場合、犯罪の捜査、租税に関する事件の調査又は公訴のために作成する場合等、特殊な場合を除いて、個人情報のファイル名、保有する事務組織、保有目的、記録項目、収集方法等について事前で明らかにしなければならないこととなっている。

 

「行政機関が個人情報ファイルを保有しようとするときは、当該行政機関の長は、あらかじめ、総務庁長官に対し、次の各号に掲げる事項を通知しなければならない。通知した事項を変更しようとするときは、変更する事項についても、同様とする。」

 

(c) 利用及び提供の制限

 

個人情報の利用、提供に関しては下記の法9条の規定により保有目的を明確にした上でさらにその保有している個人情報を保有目的以外の目的に利用したり、提供したりはできないこととなっている。

 

「処理情報は、法律の規定に基づき、保有機関の内部において利用し、又は保有機関以外の者に提供しなければならないときを除き、ファイル保有目的以外の目的のために利用し、又は提供してはならない。」

 

目的以外の利用、提供制限は「相当の理由」がある場合は認められているが、その場合においても、「ただし、処理情報をファイル保有目的以外の目的のために利用し、又は提供することによって、処理情報の本人又は第三者の権利利益を不当に侵害するおそれがあると認められるときは、この限りでない。」という制限を付している。

以上の目的外利用および提供の制限規定によって、1つの部局に多種多様な個人情報が集積され、その利用によって国家統制が強化されるというおそれは根拠がないものとなる。

 

5] 住民基本台帳法改正案における個人情報保護対策

 

住民基本台帳ネットワークの構築に向けて住民基本台帳法の改正案が国会に上程されている。この改正案では、特に個人情報の保護対策を強化しているということができる。住民基本台帳法改正案における個人情報保護対策の主な点は以下のとおりである。

 

 

 

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