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(2) ICカードに持たせる情報

 

ICカードのメモリーが大きいことから従来の磁気ストライブでは実現できなかった、多くの情報を蓄積することが可能になった。医療情報を蓄積し、診療、緊急時への対応等に役立てようとする試みが行われている。ICカードに蓄積する情報は利用目的と密接に関連することは当然であるが、もたせる情報のタイプとして次の2つに大きく分けることができよう。

 

1] 識別コード

 

当該ICカードによるサービス対象となるアプリケーションにアクセスを認めるために必要な識別コードが記述される。ワンストップサービス型のICカードの場合にはこの識別コードがユニークに決まっている必要があることは当然である。住民基本台帳ネットワーク・システムの場合には住民票コードがこのユニークな個人識別コードとなる。当該ICカードのパスワードとこの識別コードの組み合わせから、ネットワーク上における本人確認ができることとなる。

 

2] 固有データ

 

ICカードのメモリー容量が大きいことから、本人の様々な固有情報を蓄積しておくことが考えられる。それらは次の2つに分けられよう。

 

(a) アプリケーション共通情報(基本4情報)

 

本人に関する各種アプリケーションに共通するデータを記述しておき、例えば、本人確認の場合や本人に関する情報の内容を提示する場合、もとのデータベースへいちいちアクセスしないでも済ませることが考えられる。この種情報の最も現実的なものとして、住民基本台帳の基本4情報が挙げられる。およそ国民サービスに関するアプリケーションのほとんどにおいてこの基本4情報は使用されている筈である。この基本4情報が記載されているICカードはまさに国民身分証明書となり得るものであろう。

この種の情報をICカードに記載しておくことの問題点は、記載情報のうちの可変データの扱いであろう。すなわち、可変データの場合ICカードに記載されているデータが最新のものであるか否かはICカードカード上では確認できないことであろう。最近の更新履歴が記述されていてもそれが最新のデータであるとは限らないからである。例えば、運転免許の場合、生年月日、性別、免許の種類、有効期限等は当該免許が有効な期間内において固定データであるが、氏名、住所、交通違反履歴等は可変データである。基本4情報の範囲でも、氏名、住所は可変データであり、ICカード上のデータが現時点の最新データであることの確認は元のデータベースにアクセスしなければならないのである。

 

 

 

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