1] アプリケーション並列型多目的利用
1枚のICカードで複数のアプリケーションによるサービスを受けることができるものである。1枚のICカードに複数のアプリケーション毎のアクセスのためのコードが記載されていて、目的に応じて利用することとなる。元々それほど大きなカードではないことを考えれば、複数枚のカードが1枚になるというだけではあまり大きなメリットにはならず、アプリケーション・システムの変換のためのコスト、労力の方が大きいということになりかねない(図6-2参照)。
2] ワンストップサービス型多目的利用
1枚のICカードに記載されている1つのコードで複数のアプリケーションにアクセスできるようになっているものである。このことによるメリットは単に複数のカードを保有する代わりに1枚のICカードで済むというレベルではなく、複数のアプリケーションにアクセスできること、すなわちワンストップサービスの実現へつながるという大きなメリットがあるのである。本来的な意味の多目的ICカードということができよう。これを実現するためには、ICカード自体の問題に加え、アプリケーションの方の標準化あるいは1つのコードによる複数アプリケーション間のリンク等の準備、移行が必要とされることから、このレベルの多目的ICカードが実施されている例は、1つの市等の機関内の複数サービスヘの適用にとどまっているというのが現状である(図6-3参照)。