「ザルツブルグプラスシステム」はICカードを利用した観光パッケージでキャッシュレスシステムを実現したものである。当ICカードを購入すれば外貨への交換なしでさまざまなものへの支払いができる。対象となるものは
1] ホテル宿泊代
2] 食事代
3] 土産代
4] コンサート等へのイベントの参加費
5] 交通機関の利用
6] 観光名所等への入場料
などである。また、同じくICカードで「ザルツブルグカード」というものもあり、これは交通機関と名所その他を訪問する時に利用でき、ザルツブルグプラスのミニタイプといえる。一日単位で利用が可能な接触型ICカードで、お城の中に入る時のケーブルカー、市内のバス等の利用にこれを差し出せばよいという仕組みになっている。さらに、「スウォッチアクセス」と呼ばれるツールがあり、腕時計にザルツブルグカードのような金銭価値を埋め込み、非接触型として利用できる。観光客が求めやすく、使いやすいこれらツールを利用することで、滞在時間、日数を増やしてくれることを観光局は狙ったのである。
このシステム導入後は次のような効果があったという。
1] 2、3時間ですぐ次の観光都市へ移動してしまった観光客の滞在時間が倍以上に伸びた
2] 観光客数が増加し、観光収入も伸びた
市の観光局主導で官民一体となって進めている当プロジェクトは観光収入増加だけでなくザルツブルグの街全体の活性化にも一役買っている。そしてさらに、当システムをオーストリア、ドイツ、オランダなどほかの観光地との相互利用への展開も検討中である。
(3) 入国管理手続きでのICカード利用(シンガポール)
NECとシンガポール・テレコムの子会社などの共同開発により、1997年12月よりチャンギ国際空港で入管手続きにICカードが実用化された。
仕組みとしては、旅行者の指紋データを登録したICカードを入管ゲート通過の際に提示。システムで旅行者の指紋及びICカードデータを読み取って、双方を照合することで本人確認を行うというものである。実用化により次のような効果が得られた。