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第4章

 

諸外国におけるICカード活用の動向

 

4-1 行政・自治体

 

(1) 国家社会保障カードのICカード化(スペイン)

 

スペインの厚生・労働・社会保障を管轄する国家機関が世界で最大規模且つ複雑なICカードサービスを全国規模で導入する計画を進めている。当サービスの実用化は厚生福祉面でのサービスの質向上、社会保障情報収集の効率化・簡便化そして市民の大量の書類を読み書きする煩雑さからの解放などを狙いとしている。

マルチメディア・キオスク端末経由でICカードを利用してサービスを受ける仕組みであるが、社会保障情報にアクセスできるだけでなくICカードに個人情報、指紋データなどを持たせているため個人的な用途にも利用できる。例えば、就職情報の検索、医療診察の予約、年金情報のチェックなどがそれである。そして具体的には次のメリットを期待できるシステムとなる。

 

1] 経費の削減

2] 機関の垣根を越えた情報の一元化

3] 多重チェックによる手続き上のエラー率の低減

4] 手続き処理の迅速化で、給付資格等の認定作業に必要な日数/時間の短縮

5] 不正手当支給の減少/撲滅

6] 手当支給管理の強化

7] 社会保障に関する個人情報をカードで分散管理することで情報管理負荷の軽減

8] 社会保障に関する情報を市民が自分で引き出せるため、行政スタッフは手続き上の単純ペーパーワークから解放され、より付加価値の高い個人サービスヘシフト

9] 社会保障制度全体のイメージ向上や価値認識の促進

10] 社会保障システムの改善等、付加価値の高い業務への経費投入

 

 

 

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