(1) 電子決済・電子マネー分野におけるICカードの利用
我が国における「電子マネー」の草分けは、京都の西新道錦会商店街振興組合におけるエプロンカードとされる。1992年に60店舗で始まったが、現在では80店舗と加盟店の過半数が同カードの採用に踏み切った。店舗に設置された端末では、100万円未満の金をICカードに入金することができる。また、店の従業員が、決済用携帯端末と商品を持って、顧客を訪れその場で決済できることから、体の不自由な人や高齢者からも歓迎されている。
その後電子マネーは、神戸、東京、大宮など大都市を中心に実験が実施され始めた。
1] 神戸スマートコマースジャパン
神戸スマートコマースジャパンでは、1997年からVISAキャッシュ(ICクレジット+電子マネー)の使用実験を始めたが、'98年4月の時点でスーパーマーケット、書店、飲食店など加入店舗数600、利用顧客2万4千人、決済金額1.2億円となっている。
2] 渋谷スマートカードソサエティ
東京の渋谷スマートカードソサエティでは、1998年6月よりVISAキャッシュの使用実験を開始した。当初は800店舗でスタートし、最終的には2000店舗、13万枚のカードの発行を予定している。ICカードの種類としては、使い切りおよびリローダブル双方のVISAキャッシュ、一枚のICカードにICクレジットカードとVISAキャッシュカードを組み込んだクレジットカード会社が発行するもの、さらに銀行が発行するキャッシュカードとVISAキャッシュカードを組み込んだICカードが利用されている。参加企業は、UC、ミリオン、あさひ等おおてのカード会社8社、金融機関としては、東京三菱、第一勧業、富士、住友等の大手都市銀行中心に10機関、さらにメーカーとしてはアンリツ、NTTデータ通信、オムロンなど電気メーカー、通信機メーカー等を含め30社近くが参画する大規模なものである。
3] 新宿スーパーキャッシュ
東京では、新宿でも「新宿スーパーキャッシュ」の実験が'98年10月からバーチャルモールとして実施され、'99年4月からはモニター10万人によるリアルモールとして実施される予定になっている。この実験を円滑に推進するため、'98年4月に(社)スーパーキャッシュ協議会が設立されている。同リアルモールでは、小田急、高島屋などのデパートのほか、紀伊国屋書店、ビックカメラ、あるいは出光興産、コスモ石油などのガソリンスタンド等が参画している。また、参加企業としては、都市銀行など24の民間金融機関が参加する大規模なものとなっている。