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(1) ICカードの特徴

 

ICカードは、磁気ストライブカードと違って記録できる情報量が極めて大容量であり、また、カード自身がデータの記録、演算、暗号化等の処理やセキュリティ管理といった機能を持つ。つまり、ICカードは、個人の健康診断記録とか施設予約情報など個人情報の記録としてのデータ記憶装置として利用できるほか、カード利用者本人やカードを操作する端末の確認、あるいは取り引き相手との相互確認、さらに医療データ等データを読み出すオペレータの確認等認証装置としての利用が可能である。したがって、ICカードは公共分野および民間分野の情報化双方におけるきわめて機能的なツールとして、将来飛躍的にその利用範囲が拡大するものと期待される。

今日、インターネットの急速の進展により、さまざまな取り引きをオープンネットワーク上で展開しようとする電子商取引(EC)の実現に向けての動きが活発になっている。ECは、従来のような物品の販売に限ったものではなく、画像、音楽、文字、ソフトウェア等のデジタル情報を注文と同時に回線を通じて直接転送することによって、販売店が何の在庫を持たずに販売したり、インターネットを介したさまざまサービスに応じて課金を行うなどまったく新しい商取引の世界である。しかし、こうした新しいビジネスを円滑に普及させるには、インターネット上で行える安全な決済手段が不可欠となる。

このための対応策として、暗号化がある。暗号化には、暗号を作成したり解読するための鍵が必要であり、この鍵の方式によって共通鍵暗号方式と公開鍵暗号方式がある。このうち公開鍵暗号方式は、鍵の配送が容易であるとことから今後の利用が急増するものと予測される。公開鍵暗号方式を支援しているICカード用LSIには、公開鍵を処理する専門回路(コ・プロセッサ)を搭載したものが登場している。今後、ECではこうしたLSIの必要性が高まるものと予測される。

 

(2) 非接触型ICカードの効用

 

ICカードの普及には、広範囲で多種多様な利用拠点に、リーダ・ライタ機器を導入しなければならないため、莫大な初期投資を必要とする。磁気カードからICカードへ移行する場合には、磁気カードとの併用期間が必要であり、この場合はリーダ・ライタの共有化が可能な接触型ICカードが便利であろう。しかし、こうした必要性がない場合、あるいは非接触型ICカードの特徴を生かせる分野では、一挙に非接触型ICカードの利用へと進むことになろう。

 

 

 

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