第3章
民間等における他目的ICカード利用の動向
3-1 多目的ICカードの利用動向
3-1-1 ICカードの進展
近年の情報技術の急速の進展により、情報化は行政、産業、社会から個人・家庭生活の分野にいたるまで広く深く浸透しつつある。こうした中、我が国でもかってICカード(一部ではスマートカードとも呼称されていた。)が、自治体における行政情報サービスの向上にもつながるとして一時ブームになった時期があり、海外からも我が国のこの分野の技術に高い関心を呼んだ。しかし、コスト面、標準化、磁気カードの急速の普及、あるいは社会的なインフラの未整備等によってそれほどの発展がみられず、その間むしろ海外においてICカードの利用が進展したといえる。その後、我が国においてもセキュリティ技術等技術革新、ECの普及、キャッシュレス社会への移行、行政情報化の向上の必要性等に対応して、改めてICカードヘの期待が高まりつつある。
我が国では、現在利用されているカードのほとんどは、磁気ストライブカードである。一般的に磁気ストライブカードとして用いられるプラスチックカードは、塩化ビニル重合体、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体またはこれらと同等以上の特性を持つ材料で作られたシートを積層し一体化したもので、通常のエンボス処理に対して適正なものとされている。また、この基盤が磁気ストライブの特性を損なわないこと、カードの材質およびカードの加工材料がリーダ・ライタに悪い影響を及ぼさないことが規定されている。さらに、カードの物理的特性としては、引張や衝撃の強さ、耐熱や耐湿、伸縮性や粘着性などのほか、毒性をもたないとか、磁気ストライブカードの物理的特性や電磁変換特性についても規定されている。