(3) 岐阜県益田郡での広域・多目的利用の「湯遊(ゆーゆー)カード」
1] 導入の背景
岐阜県益田郡の5町村(萩原町、小坂町、下呂町、金山町、馬瀬村)では、平成9年度から通商産業省が推進するICカードの広域・多目的利用の実証実験に取り組んできたが、平成10年10月12日から5町村の内、萩原町と下呂町でICカード(湯遊カード)の利用を開始した。他の3団体は、平成11年度以降に利用を予定しているとしている。この実証実験には、5町村の外に益田広域事務組合、南飛騨国際健康保養地推進協議会及び関連施設が参画している。
実証実験では、1枚のICカードで複数の業務サービスが提供できること、また、広域的に利用できるICカードシステムを開発することで、大都市圏に比較して情報化の遅れている電源地域の情報化の促進と地域の活性化を図ることとしている。
2] 事業の内容
住民が利用できるICカードシステムは、証明書等広域交付システムと南飛騨国際健康保養地関連施設システムである。
(a) 証明書等広域交付システム
益田郡内に居住する住民は、住所地以外であっても萩原町と下呂町に設置した自動交付機を利用して住民票の写し及び印鑑登録証明書の交付を受けることができる。
湯遊カードは、益田郡内の居住者(15歳以上)で、各町村に申請すれば交付される。カードの表面には、氏名、カード番号、写真が記載され、ICチップには、氏名、住所、生年月日、性別、住民番号、電話番号などが記録されるとしている。このシステムは、益田郡広域事務組合が管理、運用している。
(b) 南飛騨国際健康保養地関連施設システム
湯遊カードの保有者は、益田郡内の温泉施設等(10施設)であれば、どこの施設でも利用できる。利用額に応じポイントサービスが受けられ、一定のポイントになると共通入浴券などがもらえるようになっている。このシステムは、南飛騨国際健康保養地推進協議会が管理、運用している。
3] ICカードの機能
益田郡の5町村が発行したどのICカードでも、相互に利用できる仕様になっている。また、住民票の写しなどの行政サービスと温泉施設の利用などの民間サービスという異なる複数の業務があっても、1枚のICカードでそれぞれのサービスを享受できるようにしてある。更に、ICカードの保有者である住民の希望により、新たな業務サービスを追加したり、既存のサービスを削除したりすることができるようになっていることである。