2] 住民基本台帳カードの機能
法律案によると、住民基本台帳カードは、住民の申請に基づいて市町村が発行する。このカードには、4情報(氏名、住所、生年月日、性別)と住民票コードが記録される。
このため、住民は、全国どこの市町村の窓口に行っても住民基本台帳カードを提示すれば、住民基本台帳ネットワークシステムにより自らが居住する市町村の住民本人であることを確認することができ、住民票の写しの交付を受けることができることになる。また、転入に際しては、住民基本台帳カードを使用し、このネットワークシステムの処理により転出証明書がなくても転入届を行うことができることとしている。
このネットワークシステムの運用や住民基本台帳カードの使用に当たっては、本人確認情報の漏洩、滅失、毀損の防止などの安全確保の措置を講じることとしている。具体的には、不正利用や不正操作に対するパスワード、暗号鍵及びアクセス制御の設定、ネットワーク上の送受信情報の盗聴、侵入、改竄に対する情報の暗号化及び認証などの技術的対策、また、本人確認情報の利用を制限するなど法的対策を想定している。
住民基本台帳カードは、住民の申請に基づいて発行されるが、カードの表面記載事項については、氏名、交付市町村名だけのもの、又は、氏名、交付市町村名の外に、生年月日、性別、住所及び写真を加えたもの、から住民が希望するものを選択できることとしている。
法律案では、住民基本台帳カードに記録される情報は、限定されている。しかし、市町村は、条例の定めるところにより、カードの空き領域に市町村が独自に行う行政サービスに必要な情報を記録し、条例に規定する目的のために利用することができるとしている。
これらのことにより、住民基本台帳カードの多目的利用の実現が期待される。
2-3-3 地方公共団体における多目的ICカードの利用事例
(1) 北海道滝川市での多目的利用の「げんきカード」
1] 導入の背景
滝川市は他の団体と同様に、人口の減少、郊外型大規模小売店舗の出店、札幌市や旭川市への買い物客の流出など既存の商業が厳しい状況に置かれていた。この状況を打破するための新たな取り組みとして、商店街ポイントカード事業に着目し調査研究に取りかかった。
平成7年1月に、通商産業省の多目的利用ICカードシステムモデル事業の地域指定を受けて、実証実験を行い、平成8年2月18日から運用を開始した。また、市民の健康増進を促進するために、健康管理カードシステムの開発に取りかかり、平成8年6月3日から運用を開始した。