2] 標準システム構築の考え方
地方公共団体では、住民に対する行政サービスの高度化を図るために、情報通信システムを独自に開発するのが一般的であるが、地方公共団体の行政サービスは、各団体を通じて共通する部分があるため、ソフトを統一し、パッケージ化できる要素が多いと言える。このため、各団体に共通する基本的部分を標準化することにより、システム開発の効率化と開発経費の節減を図ることが望まれている。言い替えると、標準システムは、個々の地方公共団体が地域の実情に適合するシステムを独自に開発する代わりに、全地方公共団体に共通かつ固有のシステムを開発し、そのシステムを共用しようとするものである。
平成3年度から平成6年度にかけて、地方公共団体の中から指定団体として17団体を指定し、各団体ごとに標準システムの開発を進めてきたが、標準システムの内容が固まったため、平成9年度から一般公開(普及)を行っている。
標準システムの著作権は、財団法人地方自治情報センターが保有しているため、標準システムの導入を希望する地方公共団体は、著作権の使用許諾を受けた民間事業者を通じてシステムの提供を受けることになる。
3] 地域カードシステムの内容
ICカードは、セキュリティが高く、記憶容量が大きいことから、金融・商業を始めとする様々な分野で利用が拡大している。地方公共団体においても、優れた特徴を持つICカードを利用することは、住民福祉の向上や事務の効率化などを進める上で重要であると考えられる。ICカードは、磁気カードと比較した場合、価格的に若干高めではあるが、100倍以上の情報を蓄積することができ、入出力が自由に行える上に、情報の偽造や改竄が困難であることから、コストが低下すれば急速に普及していくものと見込まれる。
地域カードシステムでは、ICカードに記録する情報として、氏名、住所などの個人基本情報や行政窓口情報、救急情報、検診時の検査値や所見などの保健情報、投薬情報や病歴などの医療情報、福祉サービスの受給情報や訪問介護情報などの福祉情報など様々な情報がある。
この地域カードシステムは、多くの地方公共団体が共通的に利用することができるために、「保健医療カードシステム標準化マニュアル」(第1版 厚生省健康政策局総務課医療技術開発室監修)に準じてICカード内の情報項目やアクセス権などの標準化を図り、開発してある。また、ICカードのアクセス方式として、財団法人ニューメディア開発協会で開発したCAM(Content Access Manager)を採用している。
更に、地域カードシステムで使用するICカードは、基本的には住民の申請に基づいて各地方公共団体が発行することとしている。